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番外編:スタンプカードと肉球の魅惑

 お客様がさらに楽しくなることは何かないだろうか?


 そうシャルロットは考えて、ようやく一つの形を思いついた。


『主、これはなんじゃ?』

「スタンプカードだよ。一回のお会計で一つ押して、十個貯まったらおまけメニューから一品無料で提供させてもらう予定なの」


 ミニサイズのデザートや一部のお茶の無料券になるカードなら、きっと貯め甲斐もあるはずだ。

 ただ、まだ問題も少し残っているが……。


『何かお困りごとか?』

「押すスタンプの形が、まだ決まってなくて。このお店らしいものにしたいんだけど……」


 自分で彫るつもりなので複雑なものは困難だ。だからといって、ただの丸だと味気ない。


『ならば、我の肉球の形などいかがだろうか?』

「確かにいいかも! クッキーでもステンシルラテでも、とっても人気だもんね」


 加えて、彫る難易度も高くなさそうだ。

 可愛く簡単に仕上がり、しかも店の印象も残せるはず。


「じゃあ、早速取りかかろうかな」


 そうして動き出そうとしたシャルロットだが、そこに静止の声がかかる。


『待たれよ、主君』

「クロガネ? どうしたの?」

『マネキ殿の肉球も素晴らしいが、私の……肉球も負けてはおりません』


 そして黒柴姿のクロガネは転がりながら、桃色の肉球をシャルロットに見せた。


(こちらも間違いなく可愛い……!)


 ポーズも相まって可愛さを増幅させているクロガネを見たマネキもまた、負けじとシャルロットに前足を見せようとする。


 二つの肉球の誘惑は大変なものだ。

 思わずシャルロットは両方とも握ってしまった。

 形、堅さ、手触りともにまったく異なるが、両方ともとても魅力的であった。


(でも、小さなスタンプ面に犬と猫の足跡の違いを明確に示すのって難しいかな……?)


 ある程度の大きさがあるならまだしも、印面はたった一センチ角だ。

 けれど両者からの期待の眼差しを受ける限り、ちらも大差が無いから一つでいいのではと逃げるわけにはいかない。


「じゃあ、両方作ろう! 使うときはランダムということで……だから肉球をよく観察させてもらえるかな?」

『もちろんじゃ!』

『どうかよくご覧ください!!』

「ありがとう。お礼に夕食時のデザート、一品追加するね」


 協力的な返事にシャルロットが感謝していると、両者もまたしみじみと呟いた。


『まさか我がこのような形で他者の役に立てるとは、かつては思いもせなんだ』

『私も戦闘能力以外を買われることになるとは、思いもしませんでした』


 その言葉は今の状態を喜んでいるようで、シャルロットも嬉しくなった。


 なお、このスタンプカードやスタンプのシステムはたちまち大人気となり王都中の飲食店へと広まっていった。


『その喫茶店主マスターは、転生した召喚師!~ようこそ、こちら癒しのモフカフェです~』

として連載させていただいていた作品につきまして、この度『ようこそ、癒しのモフカフェへ! ~マスターは転生した召喚師~』として連載させていただいていた本作ですが、タイトルを『ようこそ、癒しのモフカフェへ! ~マスターは転生した召喚師~』へと変更し、アリアンローズ様より書籍化していただく運びとなりました。

それに伴い、WEB版のタイトルも合わせさせていただきました。

発売予定日は2020年9月12日です。

書籍版では登場人物やお話回りなどまるっと変わっているところもあり、お店もの度がアップしていると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

(なお書籍版は設定変更等に伴い書籍版とWEB版は別ルートとなっております)


書影等詳細は活動報告にて。

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