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第8話 異変

半年後


「…であるからして、この場合の式は…おい、米田」


「…スー…」


「米田!!」


「ふぁい?!」


教師の怒号に米田は声を裏返し、気の抜けた返事で返した。


「…すまんなぁ。私の授業が退屈なあまりに君の眠気を誘ってしまって」


教師は口角上げて穏やかに話すが、その目は穏やがでは無かった。


「いえいえ!先生の授業はいつもとっても勉強になります!!」


米田は両手を小さくパタつかせながら弁明を図った。


「ほう、それは嬉しいね。実に教師冥利に尽きる言葉だ…。では早速勉強の成果を見せてもらおう。この式を解いてくれ」


教師は黒板に書いた数式をチョークでカツカツと叩いた。


「えー…は、はい…。」




「まーちゃん寝過ぎー!」


「…しょうがないじゃん、朝練は早いしキツいし、疲れてるんだもん」


「それはゆーちゃんも私も一緒だよ?」


昼休み。米田はいつもの様に友人の桜井と西山と共に昼食をとっていた。


3人共バドミントン部の所属であり、クラスも一緒ということもあって、3人でいることは多かった。


「うん、2人ともなんで眠たくならないのか…不思議だよ」


米田は桜井に顔を向けると眉をひそめた。


「確かに朝練は疲れれるし眠たくもなるけどさー…。ゆーちゃんもなんか言ってあげてよ!」


桜井が西山に意見を求める。


「…ちゃんと授業受けないと、あなた本当に留年するわよ…」


西山は弁当のウィンナーを箸でつまみ上げながら呟く様に言った。


「うぐっ…わ、わかってますよーだ!」


「わかってるならちゃんと授業受ける!」


桜井に追撃され、米田はむくれながら弁当を頬張った。




しばらくして食事を終えた後も3人は他愛無い話を続けていた。


「…あっ、そういえば知ってる?オバケ工場の事故」


桜井は右手で携帯をいじりながら呟いた。


オバケ工場とは街にある所謂心霊スポットであり、随分前に廃工場となった場所であった。


いくらか有名な場所であり、この街に住む者であれば皆知っていた。


「事故?」


怪訝な表情で米田が聞き返す。


「そっ。深夜にいきなり倒壊したらしいよ」


「ふーん…。なんか最近事故多いね」


実際、数ヶ月前から街では不審な建物の倒壊や爆発事故が相次いでおり、いずれも原因不明であった。


「そうっ!でね、この話は続きがあって…」


桜井の顔が得意気になる。


「ここ最近起こってる不審な事故。少ないけど目撃者がいるらしくて、目撃者の人達は揃って、”黒い人の様なナニカ”を見たらしいの!」


桜井はやや興奮した様子で米田に詰め寄る。


桜井は怪しい噂やオカルトの類を好んでいた。


「そ、そうなんだ…」


横では西山がお茶をすすっている。


「そうっ!つまり…この人の様なナニカ、こそこの事故の原因、犯人だと思うの!」


「な、なら、警察がパパッと捕まえちゃえば良いんじゃない?」


米田が訪ねると、桜井は眉をひそめて身を引いた。


「…そう思うでしょ。でも、事故現場には人がいた形跡は無いんだって。原因もよくわかってないし、目撃者の証言も遠くから見たものしかないらしいし…」


桜井は考る素振りをする。


「でもこれだけ目撃証言が揃ってるなら、絶対何か関係してると思うんだけどなぁ…」


「そ、そうだね…。」


「…くだらない」


米田と西山がそれぞれ呟いた。


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