第7話 撃退
総司を覆うのは鋼鉄の装甲。
その内なる激しい闘志は装甲の上からでもわかるほどだった。
風間は一瞬目を見張り、息を呑んだ。
これだ…これが私の求めていたものだ!
弾き飛ばされたロボットがゆっくりと起き上がる。
そして目の前な鋼鉄の戦士を確認した。
総司には先程までの必死な様子は一切無かった。
ゆっくりと左手を挙げ、こっちへ来いと挑発する。
「…かかって来な…鉄屑に戻してやる」
落ち着き払った口調とは裏腹に、その声色には激情が滲んでいた。
風間は手元を操作してロボットの起動レベルを上げた。
ロボットは先程よりも俊敏な動きで体制を整える。
「殲滅の時間だ…チリの一つも残ると思うな…!」
総司が呟く。その声には強い闘志があった。
次の瞬間、金属の巨軀が勢いよくアスファルトを蹴り上げて拳を叩き込まんと総司に迫った。
激しく金属がぶつかり合う音が響く。
余りの風圧に風間は顔を覆った。
アスファルトの破片とチリが舞い上がる。
それらが収まった頃、ようやく風間は顔を上げて衝撃の方向を確認した。
そこには金属の巨軀は無かった。
そこにあったのは、片膝をついて右の拳を叩き込んだ総司の姿。
そして拳を叩き込まれたロボットはうつ伏せにめり込んでいた。
その上半身は見る影もなく潰れている。
「やった…やったぞ…!」
風間が呟く。
その額には汗が滲んでいた。
「実験は…成功だっ!!」