表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

第6話 武装形成

確かに感じる手応え。絶大な衝撃の感触。


総司は手を放し、勢いよく後ろに仰け反った。


間一髪、跳ね起きざまの両蹴りを躱した。


コイツ…!


跳ね上がった巨軀の胴に腕を回し、ありったけの力を込める。


持ち上げられる形になった巨軀。そしてそのまま勢いよく地面に叩きつける。


総司は知らなかったが、この体勢はプロレスのパワーボムとほぼ同じであった。


しかし技が決まることはなかった。


金属の豪腕が衝突を防いだ。ヒビ割れるアスファルト。


次の瞬間、総司の頸部に強い衝撃が走る。


足をまわされ、右脇から挟み込まれた。頸部を強烈な力で締め上げられる。三角絞めと呼ばれる技。


「ぐッッ…!」


経験したことの無い強烈な絞め。首に力を込め、耐える。


完全にキマッていた。抜け出そうともがき、左の拳をがむしゃらに叩きつける。


だが硬すぎる。何度も同じ部位に当ててもわずかな凹みもつかない。


意識が遠のく。


「諦めるか…言っておくが、僕は君を助けたりはしない。研究の成果が出なかったのは残念だが、それまでだったという事だ。君は死人に戻る」


風間の声が遠く聞こえる。


どうにか…しなければ…。


絞めつけはキツくなるばかり。


この状況を…打開するには…。



「だがコレだけでは無い。君の身体能力の強化は、あくまで武装に耐えるためのものだ」


風間の言葉を思い出す。


そうだ…武装…!


そもそもこの実験も、武装するためのもの…!


でもどうやって…!


考えがまとまらない。力尽きるのも、時間の問題だった。


離さななければ…どうにかして…離さなければ…!


死がすぐそばまで迫っている。


断片的に飛来するこれまでの記憶。走馬灯である。


幼少期、少年期、そして今に至るまで。


そして、その中には確かに彼女がいた。


舞衣(まい)ッ!!


思えば何故こんな目にあっている。


平穏に暮らしていただけだ。


平和に過ごしていただけなのに。


どうしてこんな目にあう。


どうしてこの無機物は、俺を殺そうとする。


瞬間、総司の鼓動が跳ね上がる。


…ふざけるな…!


強い怒り。そしてその憤怒は、金属の巨軀に向けられた。


思い通りにいくと思うな…デクノボウが…!


このまま俺を殺せると…思うな、その前に…!


…俺が貴様をブッ壊すッ!!


「君が相手に対して強烈な闘争心を持った時に、ナノマシンが反応して活性化。外骨格を形成し、身体能力、処理能力が飛躍的に上昇する」


この時、総司は未だかつて抱いたことの無い程の、激しい怒り、憎しみ、そして闘争心を抱いた。


このロボットに対する認識が、排除すべき脅威から憎むべき駆逐対象へと変化した。


次の瞬間、総司を絞めあげていた金属の塊は吹き飛ばされた。


操縦の体を光が覆う。


「武装…形成ッ…!!」


光が収束する。


そこには、鋼鉄の鎧に包まれた、怒りに燃える戦士がいた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ