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プロローグ
令和初投稿です(^^)
更新遅いのに新作かくとか正気かとか思わないでくださいね…σ(^_^;)スミマセン
なおこの作品はHJ大賞2019に応募します。
応援して頂ければ幸いです‼︎
プロローグ
多くの者はその光景を地獄と形容するだろう。
死の臭いと黒煙が立ち込める。
午前未明、乗客、乗組員計182名を乗せた旅客機が墜落した。
瓦礫と化した航空機には、最早命の気配は無いかのように思われた。
「……ぅ」
少年は微かに呻いた。
驚くべきことに。この少年にはまだ息があった。
しかしそれも虫の息。彼に残された時間は幾ばくも無かった。
「ま……ぃ…」
少年が再び呻く。
少年の左手にはほとんど感覚が無かった。
それでも、繋いだ手の感触を完全に失ってはいなかった。
残り僅かな力を振り絞り、横を向こうとする。
せめて、彼女だけでも。
霞む視界。目を凝らす。
そこにいる筈の少女はいなかった。
右手首より上を残して、消えてしまっていた。
少年は、慟哭することもできない自らを呪った。
そしてそれが少年の最後の光景となった。
旅客機墜落の原因は、不明。
生存者、無し。
行方不明者、1名。