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少女の決意

 



「先日ブラジル沖で発生した地震はマグニチュード8.1、

 震源の深さは350km、また日本への津波の心配はありません。

 続いては、集団失踪事件です」


 地球の反対側で起こった大地震のニュースは

 わずか1分にも満たない時間で切り上げられ、

 誰もが注目しているニュースへと移っていく。


「依然何ら手掛かりがつかめないまま5日が立ちました。

 本日は失踪事件に詳しい先生をお招きしています

 先生これは本当に不思議ですよね」


 警視庁刑事部で長年誘拐事件を担当してきたという元刑事は大きく頷きながら話し始める。


「はい、

 学校関係者の証言から3時間目までは通常通り授業があったんですよ

 これには多くの証言者がいますし、目撃者もいます。

 ところが、4時間目が終わり、昼休みになったときにはすでに誰一人いなかった。

 これはもうさっぱりです

 誘拐の痕跡すら何も出てこない。

 警察は現在必死で手がかりを探していることでしょう

 まさか人が消えるなんてことはあり得ませんからね」


「当時、教室のドア付近で倒れていたという少女についてはいかがお考えでしょうか?」


「えっと確か、失踪した方の妹さんでしたね

 たまたまお昼を届けに行っていたということでしたが、

 その彼女が教室前で倒れていた。

 この少女と事件との関係性は十分にあり得ます。

 というか今のところこの少女以外に手掛かりはないといっても過言ではありませんね。

 その少女の意識が戻れば、事件が大きく進展する可能性はあります」


「一部で大きくうわさされている憶測についてはどうでしょう?」


「宇宙人とか神様の怒りとかいうやつですか?

 今の時代、非科学的ですよ」


「では、ネットでうわさされている異世界召喚はどうでしょうか?」


「え?

 異世界召喚ですか?

 ありえませんよ

 どこからそういう話が出てくるんでしょうね

 そんな根拠もない話が広がっていることに私は驚きですけど

 まぁ情報が少なすぎてそういう噂に惑わされる気持ちはわからないでもないですが、

 先ほども言いましたけど、人が消えるなんてことはありえません

 非科学的ですよ」



 ***************


「お兄ちゃんは、

 兄を含むクラスメイトは、

 私の前で光に包まれて……

 ……消えました」


 とある病院の一室。

 ベッドに座った姿勢のまま少女は

 数人の大人たちへ向かって話していた。


「……う~~~ん

 消えたって言ってもね~~

 どうします警部?」


「お嬢ちゃん、

 その時ほかに誰かいなかったかい?

 もしくは何かを見たとか?」


 何度目になるかわからない問答に飽き飽きしつつ、

 それでもその少女は真面目に答える。


「いくつかの星とか丸とか三角が重なった幾何学模様を見ました。

 それが教室の床から浮き上がっていました」


「あーー、

 その話はいいんだよ

 ほかにはなかったかね?」


「……いえ、ありません」


「そうか、

 何か思い出したらすぐに呼んでくれ

 それじゃ今日はこの辺で

 次は明日の10時に来ますので」


「はい、ありがとうございました

 捜査のほう宜しくお願い致します」


 刑事に頭を下げる少女の母。

 刑事が出ていった病室は重い空気に支配されていた。


「知っていることはすべて話したのに……」


 キッと唇を噛み、

 握った手に力を入れる。


 あれじゃ、(らち)が明かない。

 お兄ちゃん、どこにいるの?


 少女――相沢スミレは失踪した兄を思い浮かべ、決意する。


 私が探し出す、

 絶対に、

 どんな手を使っても……必ず!


本編は次話からとなります。


今日も晴れ


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