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ポラリス  作者: susan
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社長の死

 紅子から貰った名刺の裏の携番に、電話する事を躊躇うグレン。

 彼女が英語を話せなかったら、自分のカタコト日本語だけでは到底コミュニケ―ションとれるものではない。同じ編集の仕事をしていた者として、話題はあるのだが。さて、どうしようか。


 時間が過ぎていった。

 

 勤務中、常務理事が来た。

「秋川社長が、今朝お亡くなりになりました」


 葬儀に参列出来るのは各部署の代表者のみ。

 会社は通常通りの営業。

 慌ただしくなったのは会社同様、グレンの身の回りもそうであった。

 

 社長の初七日が過ぎたあたりに、新社長の研造がグレンを社長室に呼んだ。


「俺、ビジネス・スキルという言葉、好きじゃないのよ」


「ドウシテ?」


「俺自身がスキル持ってないのよ」


「…………………」


「キャラクタ―や人生経験もスキルだと思ってる。 何故なら接客業は、対、人だからさ。我々の人間性と経験をスキルとして使うんだ。後は商品に自信を持てばいい。

 それは、ポラリスは世界一美味しいクラフトビ―ルだからさ。

 あっ、俺、ゆっくり喋るから、解らなかったら聞き直して」


 ビジネス・スキルは、キャラクタ―や経験も含まれる話をしている事、グレンは理解した。


「 ビジネス・スキルの話なんだ、皮肉な事に。

まだ、マイケルとスタンリ―には内緒にしておいてくれ。

 グレン、君を我社の本社勤務の商品広告デザイナー兼、営業通訳として任命することになった。常務理事も部長も君をイチオシなんだ。まぁ、言い出しっぺは俺だけど。給料に差が出るからマイケルとスタンリ―にはまだ秘密。彼らには、予定通りニュ―ヨ―クとサンフランシスコのレストランバ―を任せる」


「ロスアンゼルスはダレ?」


「また、募集かけて探す。そこでグレン、大変なんだけど、商品パンフレット全部新しく作り直したいんだ。英語・フランス語・イタリア語・スペイン語・日本語のをそれぞれ作る。しかも、そのお国のどの料理にどのフレ―バ―が合うか写真を入れたいんだ。月刊札幌ライフは印刷所もやってるし、紅子さんが有能なカメラマンだから、協力してもらうといいよ」


「商品広告デザイナー、編集者ノマエニ、クラフト・ハインツデ、ヤリマシタ」


「クラフト・ハインツでデザイナーやってたの?そのあと編集長だろ。やっぱ、スキルあるね、君は」


 グレンは嬉しかった。単にレストランバ―を任せられるより、デザインや通訳や料理コ―ディネ―タ―の仕事が自分には向いていると判っているから。


「今度、紅子さん呼んで打合せするから」

 と研造は言った。


 紅子さんに会いたい。

 グレンは彼女の顔を思い浮かべた。


         続く

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