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ポラリス  作者: susan
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美しい編集者

「うわぁ、流石、ポラリスビ―ルさんだわ!スタッフがこんなイケメンのアメリカ人が三人も❗ハンサムですねぇ、久し振りに目の保養出来た」


 月刊札幌ライフの編集者、紅子はブロンドハンサムのマイケル、アル・パシ―ノ似のスタンリ―、そして何よりも筋肉質でギリシャ彫刻のような端整なグレンの男性的な美しさに、うっとりした。


「三人並んでください。来月号に大きく載せますね。いい絵だわ、美しい。男の人を美しいって感じたの、初めてかも」


 紅子は三人の美しさに溜め息が出た。

 

 凄いわね、『コ―カソイドばんざーい❗』ってやりたいくらい。

 それやったら、馬鹿だと思われるかしら、思われてもいい。


 グレンは、テキパキと料理の写真を撮る紅子の慣れた仕事振りに、惚れ惚れして観察していた。

 きらきら艶のあるダ―クブラウンのロングへアを無造作にアップにまとめ、全身黒づくめの都会的なファッション。メイクもナチュラルなのに、顔立ちは濃い。


 懐かしいな、編集者か。


 グレンは編集長時代を思い出した。


「夜、アメリカ人の観光客が団体さんで40名入ってます。夜、もう一度取材に来られてはいかがですか?」と、研造が紅子にPRした。


「了解しました❗夜、また来ますね」

 と紅子は嵐のように去った。


 マイケルが紅子を気に入った様子。

「綺麗な女性だよ、タイプだな」


 スタンリ―は

「慌ただしい雰囲気の女性だぞ」


 グレンはただ笑うだけ。

 胸がときめき始めた。

 早く夜がくればいい。


 その日の午後、常務理事からお知らせがあった。


 秋川社長が手術入院した。


 病名は伏せられたままだったが、研造は肝臓癌だと言った。


「研造さんが後を継ぐのよね」

 と女性スタッフの会話が聞こえた。


「新商品ビ―ル、Big Dipper(北斗七星) の発表もあるし、ちょっと大変になるな」

 と課長が言う。


 グレンは雰囲気を読んだ。

 社長の病気が重い事。

 ヨ―ロッパ進出を狙っている今、スタッフ一

人一人の意識向上が必要な事。


 そして何よりも、研造にのしかかる責任の重大さ。


 「ケンゾ―サン、何でも手伝います。言ってください」

 グレンは彼を励ました。


 「ありがとう。グレンには、これから大活躍してもらう予定なんだ。うちの会社は大手ビ―ルメ―カ―と比べると小さい会社だが、潰れないから。日本酒もワインも出してるし、スタッフの方はほぼ終身雇用だよ。グレン、アメリカみたいに突然のレイオフなんてないんだ、うちの会社は」 


 レイオフも突然の解雇もない会社。

 グレンは、自分は秋川社長に拾われたんだと思った。


 ざわついた午後が過ぎ、夜になると、再び編集者の紅子がやって来た。

 アメリカ人の団体観光客で賑わう店内をバックに、何気なく紅子はグレンの写真ばかり撮っていた。

 

 あの男性が三人の中で、一番素敵。

 アメリカンっぽくない。

 ギリシャっぽい。セクシ―!

  セクシ―注意報発令


 紅子はグレンと目が合い、無意識にウィンクを送った。


 グレンはウィンクを受け取った。

 周囲には気付かれない意思表示。

 帰り際、紅子は名刺の裏に携番をメモしてグレンにこっそり渡した。

 

 日本女性って、積極的なんだ。

 グレンは恋の予感がした。

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