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ポラリス  作者: susan
19/26

勝ち気なマ―ゴ

 翌日の午後、マ―ゴからグレンに連絡があった。

『夕べ、貴方のマンション前で長い時間待っていたわ。風邪引いたみたい。今、熱が39.3度あるの』


「何だって!」


『夕べ、会社のパーティーだったんでしょう?私は仕方ないから、一人でワイン開けたけど、寒気がとまらなかったの。何処の病院行ったらいいのかしら。ふらふらで、歩く自信ないけれど』


「疲れもたまっているのかもしれないね。夕方4時に仕事終るようにするから、病院行く用意だけして

待っていて」


 彼女は長い時間待たされた文句は言わなかった。

 グレンは夕べ彼女に、『今夜は会えない』旨、連絡入れるべきだったのだ。


 グレンは責任を感じた。

 紅子に会うためだけで、他の事が考えられなかった。


 ニュ―ヨ―クにあのまま住んでいたら、もしかしてマ―ゴと恋愛関係になっていたかもしれない。

 求職も上手くいかず、恋人のシビルとも別れ、優しくしてくれるマ―ゴと上手く付き合っていただろう。


 でも、今の自分は違ってしまった。


 彼女は自分と男女関係を望んでいる。

 

 今の自分には無理だ。


 日本へ来て、全てが上手く行っている。そして

 紅子しか見えない。


 これは男の狡さなのか。

 自分は冷たい男なのだろうか。

 それとも、マ―ゴが札幌へやって来た事が予定外なだけだったのか。


 グレンは良心の呵責に悩まされた。

 夕方までに、猛スピ―ドで業務を終わらせ、マ―ゴを街の病院へ連れて行った。


「インフルエンザではなくて良かったね」


「ええ、貴方に風邪を移してしまったら、大変」


「いいよ。」


「風邪が治ったら、ニセコにスキー行きましょう。実は、ニュ―ヨ―クの友達がニセコに長期滞在しているのよ」


「それは知らなかった。友達が北海道に居るんだね?良かったね。いいよ、治ったらスキーに行こう」


 グレンは、マ―ゴとニセコへスキーに行く約束をした。


 グレンが了解してくれた事にとても嬉しそうな彼女は、勝ち気な一面を見せた。

 「スキーは二人で行きましょうね。ねぇ、この間の女性は誰なの?」


「えっ?」


「カメラ首から下げた」


「あ、紅子サン」


 マ―ゴは、高熱の割りに気丈だ。

「あまり、あの女性と親しくして欲しくないわ」


 グレンは返事のしようがなかった。


 マ―ゴは何としても、グレンと恋愛関係になる覚悟だった。

 そのために、ニセコへのスキー旅行を持ちかけたのだ。


       続く

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