なんてクリスマス
タクシ―を降りても誰と合流しようか、仲間内はそれぞれの飲み会をやっている。
グレンは、私とマ―ゴをダブルブッキングしているのかしら?
私もプレイガ―ル歴12年、こんな事でギャ―ギャ―騒ぎたくない。
でも、ちょっと腹立つ。
何なの。
もっと飲んでやれ。
紅子は自分の勘違いで、グレンのマンション前へ行った事に気付いていない。
回転しない高級な寿司店。毎月広告を貰っている。紅子は通りかかったので入った。
「いよっ、らっしゃい」
紅子はカウンタ―に座り
「お任せ」
と注文。
酔っているので、板さんとの会話も噛み合わない
「携帯鳴ってますよ」
と板さんに教えられる。
「もしもし」
『紅子サン、今、どこ?』
グレンからだ。
「寿司屋」
『どこの?』
「ススキノに決まってるでしょうよ」
『酔ってるの?』
「まだ」
『まだって何?麻布駅に居るよ。今夜、紅子サンのマンションに行く。ヤクソク』
うっそ。本当?
「どうする?」
『…………………』
「グレンのマンション前に、マ―ゴ待ってるわよ」
『…………オ―・マイ・ガッ』
何それ。
『僕、ドウスル?』
「あのまま、外で待ってたら彼女、可哀想よ。行ったら?」
『イカネェ』
行かねぇ?
『紅子サンの真似、イカネェ』
私、そんな言葉使った?
『シラネェ』
知らねぇ、だと?
『麻布駅寒いよ。紅子サン早く来て』
紅子がタクシ―で地下鉄麻布駅へ着くと、冷えきった体のグレンが、人目もはばからず紅子を抱きしめた。
「なんてクリスマスなんだ」
「とにかく私の部屋へ行きましょう」
麻布駅直結の紅子のマンション。
部屋へ入るなり、グレンは紅子に熱いキスをした。
終わりのない熱いキス。
「スゴイ酒のニオイ」
と言って、再びキス。
紅子は急いで暖房のスイッチを入れ、再び長いキス。
二人はベッドル―ムになだれ込んだ。お互いの服を乱暴に脱がした。
早く愛を確かめたい。
二人は激しく求め合った。
グレンは紅子への愛を止められない。典型的な日本女性とは、全くかけ離れている豪快な女。
だから愛している。彼女の、何もかも全て好きだ。
紅子はエクスタシ―を感じる時、我を完全に失い、グレンの背中に強く爪を立てる。
背中が傷だらけになってもいい。
紅子サンをもっと感じさせたい。
長いメイクラブの最中、ずっとグレンの携帯電話が鳴りっぱなしだった。
続く