どんな小説が書きたかったの?
世の中不思議な事もあるもので、執筆中は楽しかったのに、あとで読み直すと面白くないということがあります。昨日投稿した『血塗れの聖母』がそうでした。
要約すると、人喰いの化け物になってしまった少女が、自分の在り方を認められず悩んだ末に、化け物としての生涯を受け入れる、という内容になっています。少しでも興味がありましたら、読んで頂けると幸いです。
宣伝おしまい。
今回はファンタジーを書いたつもりでした。私がファンタジーを好きだからです。しかし、そんなに面白くなかった。文章の所為かも知れませんが、どうも面白くない。
そこで自分はどんな話が好きなのか、一度考え直してみました。といっても、十年以上小説から離れていたので、あまりサンプルがないのです。なので、小説に限らず、自分が好きな物語を思い浮かべてみました。
○勿論、ファンタジーは好き
やっぱり、好きなんですよ。ただ、現在のゲーム調ファンタジーではなく、
昔話や伝承、伝説のような素朴なものが良いですね。
○登場人物が頑張っている話が好き
スポ魂ものは当然として、少女まんが何かでも、主人公が健気に頑張る系は読
めます。イケメンに囲まれるだけのは好みじゃない。別に主人公が絶対的に強
くても構いません。他の登場人物なんかが困難に立ち向かう、最期は主人公が
決める。それで良いのです。『ワンパンマン』とか、そのタイプですね。
○緊張感のある戦闘シーンが好き
夢枕獏さんの戦闘シーンが好きなんですよ。まあ、格闘技全盛時代に中学生、
高校生男子だったものとしては、外せません。
○テンポのいい文章が好き
獏さんは勿論ですが、平家物語とかみたいな、リズムのある文章を読むと気持
ちいいです。逆に論文みたいな、無秩序に修飾語が続く長文はだめです。
※論文は論文で面白いんですが、それは文章を楽しむ感じではないです。
○元ネタがうっすらと伝わる作品が好き
オリジナルの大河ものとか、戦記ものでも、これって、あの事件だとか、あい
つのことだとか、わかるとウキウキします。昔の漢詩や和歌って、そういう所
が面白いと思います。
見ての通り、ファンタジー以外にも好みは結構ありました。
比べていると、どの好みも小説内では異なる要素を構成しているようなのです。
ファンタジーは世界観ですよね。頑張るというのはストーリーでしょうか。戦闘シーンは描写の問題ですし、テンポにいたっては話の内容ではなく、文章表現とか書き癖に関係すること。元ネタ云々はアイディアの話ですよね。
厳密に話の内容に関わる要素って、頑張る話の部分しかないんですよ。
単にファンタジーだけでは、満足できないわけです。
何故こんなことに気付かなかったのかというと、小説のジャンル分けが一因なのではないかと思います。だって、推理小説は推理をする小説です。恋愛小説は恋愛をする小説です。これらのジャンルはストーリーがジャンル決定の要因です。それでは、ファンタジー小説はファンタジーをする小説かというとそうではない。ファンタジーやSFは、物語の舞台となる世界観をジャンル決定の要因にしているのです。
騙された! えっ、勝手に勘違いしただけだって。ぐうの音も出ません。
今思い至ったのですが、ちょっと前から流行っている異世界グルメもこの違いを利用したジャンルですよね。グルメ(食事をする話)+異世界(ファンタジー世界が舞台)ですから。
つまり、私が自分好みの小説を書こうと思ったら、自分の好きな作品や歴史的な出来事からアイディアを取りつつ、ファンタジー世界で登場人物が目標達成のために頑張る話で、テンポの良い文章で書く緊張感のある戦闘シーンを売りにすれば良いということですね。
あれ、なんだかありがちな感じ?
皆さんも、自分の好みを掘り下げてみると色々発見があるかもしれませんよ。
先程確認したところ、ジャンル別日刊ランキングで、7位になっておりました。ビックリです。(4月24日)
評価・ブックマークして頂いた方、目を通して頂いた方、皆様、誠にありがとうございました。
しかし、まさかこのエッセイが、私の初ランクインになるとは思わなかったな~