『帰宅』
なんか物語変ダナーなんておおもいのかたがた!
安心してください。 後でガチーンときれいにフラグ回収して素敵なお話になりますから!(予定)
「それで、具体的にはどうやって俺を更生させるんだ?」
衛たちは部室を出て、今は帰路についていた。
「そうね。 まずはそこから考えましょうか」
「何も案なしかよ」
次の日の朝、衛は担任の先生に入部届けを出しすため、早めに家を出る。
すると、前を歩く金髪のツインテールの女の子が見え、衛は早足でその女の子のところに近づく。
「お前いつもこの時間に出てるのか? 俺ならまだ寝ぼけてるときだぜ」
「ま! 衛!?」
女の子は声をかけられたことで衛に気付き、顔を赤くして跳び跳ねる。
「そんなにビックリしなくてもいいだろ? ほんと、昔から驚かすと顔赤くなるよな」
「突然やめなさいよ! 心臓止まるかとおもったじゃない!」
金髪ツインテールの女の子、双部詩音は驚きながらも、どこか嬉しそうに衛を蹴る。
「いって!? 威力が上がっているだと……。 一年のときクラス別れて会わなくなったうちに、ここまで上がるなんて」
詩音は衛の家のお隣さんで、小学校も中学校も一緒の、幼なじみというやつである。
「こんな時間になにしてんのよ?」
「今日はちょっと用事があってな、早めに学校に行こうと思って。 しかし、お前もこんなに早く家出てるんだな。 そりゃ去年一年会わないわけだ」
「そう……、ね」
なにか曖昧な返事をして、詩音は疑問を衛に聞くことにした。
「用事って?」
「あぁ、ちょっと入部届けをな?」
「部活入るの? なに部?」
「んーと、更生部だったっけかな」
「更生部? なにその部、聞いたことないけど。 部員は?」
「一人」
「あー、あの夜空さんか」
「知ってるのか?」
「そりゃ、女王様に選ばれてるんですし、昨日一緒にどっか行ってたし。 てゆーかあんたがあんぽんたんなだけなのよ」
そんなことない、とは言えずに、「そうかもな」と言うしかい衛。
「あんたそれ、騙されてるわよ」
唐突な詩音の台詞に、衛はなんのことかも分からないが、ちょっとだけ引っ掛かっていた疑問点が一気に膨らむ。
「騙されてるって、なにが?」
「あの女、二年で女王になれるとか、絶対裏があるのよ。あんたはそれに利用されてるとか、思わなかったわけ?」
実を言えば衛も変だと思ってはいた。
しかし、美少女が自分のためになにかしたいと言われ、断れる男はそうそういないだろう。
衛も健全な男なのだ。 よって、疑うということはあまりしないようにしていた。
「そりゃ、ちょっとは思ったけど」
「けど?」
「俺を王候補にするとか、更生させてくれるとか真剣に言ってくれてたから」
「あんたが王候補? 完全にバカにされてるじゃない。 それに、あんたのどこを更生されるっていうのよ。 だいたい、あんな女に頼らなくても、なにかあるなら私に相談すればいいじゃない」
中庭での一件がきっかけと話すわけにもいかなく、衛は曖昧に笑ってごまかす。
「一年のときだって……、何も言わないんだから」
「一年?」
そこで詩音はばつが悪そうにそっぽを向いて、「……なんでもない」と鼻をならす。
しばらく歩いていると学校が見える。
「で、結局部活入るの?」
「一応先生に聞いてみようと思ってる」
「なんなら、私もついていってあげようか?」
「別にいいけど」
えへへ、と笑う詩音の笑顔に動揺しながら、人は一年で変わるものだとしみじみ思い、「自分も変われるかもしれないな」などと、心のなかで考える衛であった。
たまたま読んでいただいたのであれば有難うございます。