虹の先の恋人
詩です。
近くにいると見えなかったのに、離れてしまうとよく見える。
―あなたの気持ち―
失って気づくあなたの愛。
失って気づくわたしの心。
「温泉でも行きたいね」
「やだ、行きたくない」
「海外旅行行きたいね」
「やだ、行きたくない」
「夜景とか見に行くか」
「やだ、夜景興味ない」
こんな可愛くないこと言ったのはね、行きたくないからじゃないんだよ。
二人の思い出をいっぱい作るとね、離れた時に悲しくなるからなんだよ。
両手で事足りるほどしかない少ない思い出。
家の中での愛の呼応しかない二人の思い出。
なんて乏しい思い出たち。
二人を繋ぐ300キロの道のりは、あなたに会うためなら苦じゃなかった。
遠い道のりなはずなのに、あなたに会えると思えば近かった。
そう言い合ってたあの夏。
私からサヨナラしたのに、もう好きじゃないと思ったのに、失ったらやっぱり寂しくて、やっぱりそばにいてほしくて。
そう気付いたこの冬。
思い出は少ないはずなのに、この家にはあなたの影が住み着いてる。あなたの愛が染みついてる。あなたとの記憶に蝕まれてる。
家だけじゃない。
わたしの心にも。
もう戻れない。
もう戻らない。
でもね、いつかまた300キロの距離が0センチになる日が来るような気がして、わたしはあなたのスペースを残しておくの。
もう、あの日のように、虹は出ていないけど、
あなたとわたしを繋ぐ虹はもう架ってはいないけど、
いつかまた、虹は出るよね。
この雨のあとに、きっときれいな虹、架るよね。
わたしの作品「運命の人」の21歳の夏の男。この人へのラブレターです。離れて気付いた気持ち、共感してくれる人が一人でもいてくれたらしあわせです。