62話 その神の名は
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煌煌と輝くマグマの川に、下から照らし出され、血だまりが大気の足場を紅く彩る。
その中心では、大剣に腹部を貫かれ、若き青年が力尽きている。
ふと、栓にもなっているその凶器が引き抜かれた。
ボトトト。
腹部から鮮血があふれだし、大気の足場からマグマの川へと幾筋もの紅き線が下る。
青年の体は痙攣を一際大きくし、命のろうそくを燃やし尽くそうとする。
そこへ、駆けつける魔力。
佐々倉啓の体をふわりと包み込むと、呪文が唱えられる。
「《治癒――5》」
淡く輝く魔力。
次の瞬間には、佐々倉啓の腹部の穴が塞がっていた。
土気色だった顔にも、生気の色が戻っている。
「これで大丈夫ですね」
「もしかしてぇ、ケイぃは《治癒》を使えないのかもお?」
「そうでしょうね、おそらくは。大変興味深い魔法を使えるようですが、使えない魔法もあるようですね」
「ふっふーんっ」フユセリは得意気に肉付きのいい胸を反らす。「ねぇー? わたしの言ったとおりだったでしょお?」
「そうですね」メロウはにこにこと嬉しそうに笑う。「フユセリさんの予言どおり、何が起きたのか分かりませんでした。ドラゴンにしたように、ケイニーさんを異空間に送ったようでしたが、その過程が判然としません。ふふ、ケイさんには長生きしてもらいたいですね」
佐々倉啓を見下ろすように滞空し、言葉を交わすメロウとフユセリ。
そこへ、少し離れて浮遊する2人の人型ドラゴンが口を挟む。
「ドラゴンの恨みは深いかよ」
「長生きできるとは思わないことですわ」
メロウが、にこにことした顔のまま、首だけで振り向く。
「以降、ケイさんは神と同列に扱います。殺すなら、取り決めに抵触しないように頑張ってください。それと、もしケイさんを殺したら、私がドラゴンを根絶やしにしますので、あしからず」
「っ!?」「っ!?」
イータとコハロニが体をびくつかせる。
「そ、それは、困るかよ」
「そ、そうですわ。困ってしまいますわ」
牙を抜かれたように大人しくなる2人。
その様子を眺めながら、ロニーはつまらなそうにお下げをいじっていた。
おもむろに、金髪をさらりと揺らしてフユセリが空を仰ぐ。
「誰よりも早く来そうなのにぃ、どうしたんだろお?」
「ん? ああ、ニィナリアさんですね。そういえば、どうしたんでしょうね。決着はつきましたし、ヒュピさんがこちらに送ってくれそうなものですが」
「向こうでぇ、何かあったあ?」
「ヒュピさんにですか? ヒュピさんの相手になるのは、あちらではルエさんくらいなものですが、ルエさんが積極的に何かをするとは思えませんし……、ああ、精神的なものでしたら、スイシアさんでも可能ですね。ヴェロニカさんの人格が復活すれば、ヒュピさんに混乱が生じてもおかしくありません」
「んー? タイミングが良すぎなぁい?」
「あくまでも、可能性ですよ。そもそも、復活するかどうかも分かりませんしね。まあ、スイシアさんの生誕から10年以上たちましたし、仮にヴェロニカさんの人格が残っているのでしたら、スイシアさんの魔力体に馴染んでいる頃合でしょう。いつ顕現しても不思議ではありませんね」
「もしそうなったらぁ、どうするのお?」
「そうなったら、というのは、ヴェロニカさんの復活のことですか? それとも」
「世界を壊そうとしたらぁ?」
「それは、決まってるじゃないですか」
メロウは、少しも顔色を変えずにフユセリに答える。
「長老会で、ヴェロニカさんを――いえ、スイシアさんを殺しますよ」
「言ってよかったのぉ? 今、見てるよぉ?」
フユセリが、空を指差す。
そこには、ロニーの神世界で映し出されているモニターの視点がある。
すなわち、スイシア本人が見ているということだ。
「スイシアさんだって、それくらい承知していますよ」メロウは空に顔を向ける。「あ、さっきのは脅しではありませんので。他意はありません」
脅しではない、すなわち威嚇したかったわけではないと言いたかったメロウだが、それはすなわち本気で殺しますよという釘刺しとも取れてしまう。
ある意味これほど効果的な脅しもないのだが、メロウは気付いていなかった。
一方、スイシア本人はどう解釈したかというと、それどころではなかった。
ロニーの神世界。
そこでは、ルエの死の重圧が会場を沈黙させていたのだから。
アクセス数が急増していました。
やった! でもなんで!?
もしやと思ってランキングを覗いてみたら……ありました!
日間ランキング198位!
ランキングに載ったのは初です! みなさまありがとうございます!
しかし疑問も。
ランキングに載ったからアクセス数が増えたとして、どうしてランキングに載ったんでしょう?
載る前は、そこまでポイントは高くなかったと思うのですが……。
まあ、なにはともあれ、ご期待に沿えるようにこれからも頑張っていきますね!




