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55話 神候補佐々倉啓 vs 剣の神ケイニー

2014/12/1 誤字を修正しました。



 僕が最後のドラゴンを転送し終わると、リーガルさんと2人の人型ドラゴン(というよりドラゴン型の人?)が僕のもとへとやってくる。


 ズゥウウウン。


 まるで重力が数10倍になったかのような重圧に、僕は這いつくばった。

 慌てて魔力障壁を強化する。

 ドラゴン級の魔力から、神様級の魔力に耐えられるほどに魔力圧縮をかける。


 それでも足らなかった。


 間違いなくリーガルさんの全力の魔力には耐えられるはずなのに、体を上から押さえつけるような重圧がなくならない。

 もはや薄すぎてほとんど感知できない魔力障壁を、僕はさらに圧縮させる。

 そこまでいくともう、未知の領域だ。

 僕の【魔力感知:Ex】ですら、ぎりぎり感知できるかできないかというレベルの超圧縮。

 厚さミリメートルとか、その1000分の1とか、そんな次元でなく、ミリメートルの1000分の1の、そのまた1000分の1とか、そういう次元。

 正真正銘、僕の全力。

 それでようやく、対等の関係。

 

 僕は立ち上がり、いちどきに噴き出した玉のような汗を拭う。

 立ちくらみがしたけど、踏ん張って耐えた。


「われたちのドラゴンはどこかよ!?」

「早く返すですわよ!?」


 濃密なんてもんじゃなく、物理的に見えそうなほどにただただ濃い魔力。

 その源であるイータとコハロニが僕に掴みかかってくる。

 僕は魔力の壁を張ると、《固定》を実体化で発動。

 それに対し、2人は同時にドラゴンの腕を振りかぶると、固定した大気へと叩きつけた。


 カッ。


 金属板に宝石をぶつけたような、異様な音。

 予想に反して大気の壁は健在。

 また、2人の拳も無傷のようだ。


「小賢しいかよ!」

「悪あがきですわ!」


 僕は2人を転送させようと、魔力を飛ばす。

 しかし、2人は魔力で迎撃。


「恐怖するかよ!」


 イータが、手元で何かを操作するように指を動かす。


 僕は異世界に避難しようとして――。


「そこまでです、イータさん、コハロニさん」


 20代と思われる男、ロニーちゃん、そして金髪の女の子の3人が現れた。

 入れ替わりになったのだろうか、いつの間にかリーガルさんの姿はなくなっている。

 

「それ以上は、看過できません。その先を実行するなら、私たちが相手になりますよ。ケイさんは、ドラゴンをここへ」


 その男に言われるがまま、僕は異世界からドラゴンたちを転送させる。

 場所は、上空。

 次の瞬間には、空を埋め尽くすような群れが出現した。


「おお、われたちのドラゴン」

「ああ、帰ってきましたわ」


 イータとコハロニが、ドラゴンの群れへと向かっていく。

 そのときにはもう、2人の魔力は収められていた。


 僕は胸を撫で下ろす。


「お疲れ様です、ケイさん」

「……助けていただいてありがとうございます」


 話しかけてきた男はかなりの美形だけど、服装は町で見かけるような平凡なもの。

 ただ、イータとコハロニの魔力に対抗できていたところを見ると、彼は神様だろう。これで町の人間だったら……神格化したもの同士、ぜひとも仲良くしたいね。


「それにしても驚きましたよ。ケイさんは、イータさんとコハロニさんの魔力にも耐えられるんですね」

「……まあ、なんとか、ギリギリでしたけどね」

「それでもすごいことですよ。これなら、神と同列に扱っても誰も文句は……」


 ふと、そこで男は言葉を切ると、誰かに向かって話し始める。


「…………彼の実力は証明されたのでは? …………まあ、それはそうですが。…………そうですね。ロニーさん、フユセリさんはどうですか? 異論はありますか?」

 

 彼は、ロニーちゃんともう1人の女の子に話を振る。


「ロニーは、別にどっちでも」

「わたしはぁ、はんたぁい。だってぇ、それ、私怨でしょお?」

「私も、どちらかといえば反対ですね。あとはイータさんとコハロニさんですが……」


 そこへ、空から降りてくる人型ドラゴン。


「どうせならわれがやるかよ。ケイニーはわれに替わるかよ」

「そうですわ。わたくしたちがその役を務めますわ」

「いえ、それは駄目ですよ。ケイニーさんとあなた方2人では意味が変わります。これはあくまでケイさんが神と同等以上の力を持つことを証明するためなんですから、神の上辺であるあなた方2人ではケイさんの力を測るには不適格です。コップに入っている水の量を樽で測ろうとするようなものですよ。

 それよりも、イータさんとコハロニさんは賛成ですか、反対ですか?」

「われは賛成であるよ。そしてケイは負ければいいかよ」

「わたくしも賛成ですわ。ぜひともケイには負けてほしいですわね」

「ルエさんとヒュピさんはどちらでもないでしょうし、そうなると、賛成2に、反対2、それからどちらでもない方が3。割れましたね」


 男があごに手を当てたとき、とある少年が傍に現れた。


「ヒュピは賛成だ。その証拠に、俺がここにいる」

「……なるほど、ヒュピさんの意思ですか。分かりました。ケイニーさんをここに招待したことで、ヒュピさんの票を賛成としましょう。賛成3に、反対2。多数決により、ケイニーさんの提案を受け入れます」


 青い髪の少年、ケイニーは、僕を睨む。


 これまでの流れで、なんとなくの事情は分かる。

 僕は、ケイニーと戦うのだろう……。


 ケイニーが僕のゲートを切った場面を思い出す。

 僕は視線を落とすと、どう戦ったものかと思案に沈んだ。



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