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22話 旅の道中



「ねえ……フマ。この瓶の中身って、何?」


 馬車の最後尾を護衛している男との会話が終わり、ニィを膝の上に抱えたまま馬車に揺られること少々。

 ニィはうとうととしていたけど、僕は尻からの振動が痛くて眠れず、暇を持て余していたので、瓶の上でくつろいでいるフマに話しかけた。


「これはスライムさ」

「え、スライム? あの?」


 僕が思わず聞き返すと、「他にどんなスライムがあるさ?」と言って続けてくれる。


「スライムについてはどこまで知ってるさ? ああ、ケイが知ってるわけないか」


 フマには僕が転生していることを打ち明かしている。それを考慮しての発言だろう。

 しかし僕は口を挟む


「スライムは、自然界の液体が魔力を取り込んだものでしょ? ほとんどのスライムは襲ってくることがない、誰でも倒せる最低ランクの魔物」

「ん? 誰かに聞いたさ?」

「いや、ギルドの本棚に魔物の情報冊子があって、それで調べた」

「ほう、それは感心さ。情報は武器さ。何の役に立つか分からない。知識を蓄えておくのは賢明さ。

 それで……ケイの質問には答えたさ。この瓶の中身はスライム。他に質問はあるか?」

「このスライムはどうするの? 飼って育てる、ってわけでもないよね?」

「ケイは、このスライムを見て、どう思ったさ?」

「どうって……魔力量が多いなぁって」

「そう、その通りさ。それが答えさ。魔力量が多いんだ」

「ん? つまりどういうこと?」

「このスライムの魔力を利用するんさ」

「ああ、なるほど」

「具体的な利用法だが……その一歩手前の話からしてみるさ」


 少し話が長くなりそうだったので、僕は聞く態勢に入る。


「この瓶の中身のスライムは、人間が利用するのが前提さ。で、その人間は、魔力量が少ない。その理由についてはさっきも言ったさ。覚えてるか?」

「普通の生き物にとって、魔力が毒だから」

「そうさ。でも人間だって、魔力を使うことはある。日常の生活でもそうだが、特に戦場で魔法兵器を使うときや、魔法武具の開発のときは、多くの魔力が必要になるさ」

「魔法兵器?」

「大魔法を放てる兵器さ。魔力さえ注げば、誰でも大魔法が使えるようになる」


 本来なら、魔法は人間自身が発動させるもの。

 でもそれだと、強力な魔法は、一部の人間にしか扱えなくなる。

 しかし、その役割を兵器に代用させたなら?

 魔力さえ用意すれば、誰でも大魔法が扱えるようになれば?

 そう考えれば、魔法兵器というのがどれだけ凶悪か想像できるね。


「もう一つの、魔法武具というのは、ちょうどニィナが装備しているのがそれさ」


 僕は腕の中のニィを見下ろす。

 僕の膝を介して伝わる馬車の振動が心地よいのか、すぅーすぅーと寝入ってしまっている。可愛い。そうじゃなくて。

 ニィの装備を見てみるが、高級そうなのは分かるのだけど、一見しただけでは魔法武具なのか判別できない。

 そんな僕の心を読んだか、フマが先回りする。


「魔法武具は、魔力を通すことで効果を発揮するさ。ただ装備しているだけじゃ、はっきりと分かるもんでもないさ」

「うん? それだったら、なんでフマはこれが魔法武具だって分かったの?」

「魔法武具は普通の武具より高性能さ。魔法の付与効果があるんだから、当然といえば当然さ。で、あのニィナが、性能の悪い装備をつけていると思うか?」

「ああ……そうだね。ニィの装備は魔法武具だろうね」


 ニィは仮にも魔王だ。

 優秀な装備を揃えていないはずがない。


「魔法武具を開発する際には、その過程で多くの魔力が必要になるさ。魔法回路が正しく作動するか、それぞれの部品がきちんと連携しているか。

 今説明した用途以外にも、魔力は様々な場面で使えるさ。こんな感じで、人間だって魔力がたくさんほしいわけさ」

「なるほどね。人間にも多くの魔力を使うときがある。でも、人間の魔力量は少ない。そんなときに、この魔力量の多いスライムがあれば便利だと。……いわば、このスライムは魔力の貯蔵庫ってところかな?」

「物分りがいいさ。まさにそういうことさ」

「そう考えると、魔物は全員、魔力の貯蔵庫だね。まあ、スライムみたいに無害じゃないと、利用なんてできないだろうけど」


 狼の魔物、フェンリルヴォルフだったら、捕まえることすら困難だろうし。

 いや、A級を引き合いに出すのもよくないか。


「でも、そう考えるとあれだね。スライムって役に立たないと思ってたけど、普通に役に立つんだね。これだったらEランクの冒険者でも簡単に稼げそうだ」

「ケイ。勘違いしているかもしれないが、全てのスライムがここまで魔力を持ってるわけじゃないさ」

「え? そうなの?」

「当たり前さ。というかスライムが全部こうだったら、魔物の討伐ができなくなるさ。

 魔力量を数字で表すとして、ケイを1とすれば、このスライムは500ぐらいあるさ。ちなみに人間の最高が、100ほどさ。全ての魔物が500以上だったら、人間の国は存在できていないさ」


 た、確かに、それだと魔物が強すぎるか。


「えっと、普通のスライムはどのくらいなの?」

「数十、あるいは一桁さ」

「……じゃあ、ここにあるスライムは、言ってみればスライムの高級品か」


 認識するや、僕は体をすくませる。

 価値の分からない石っころの宅配を頼まれていたら、実は全部宝石だったみたいな、そんな気分。

 最初から教えておいてくれよって言いたい。


「ちなみに、どうして同じスライムで、そんなに魔力量が違う……」


 あ、思い出した。

 これもギルドの情報冊子に載っていた。

 魔物は魔力を取り込んで魔物となる。

 取り込んだ魔力が濃いほど、強い魔物となる。

 同じスライムで魔力量に違いが出るということは、取り込んだ魔力の濃さが違ったということ。

 つまりここにあるスライムは、魔力濃度の高い場所で生まれたんだ。


「そうすると……アイル村の近くに、魔力濃度の高い場所がある?」

「お、なかなかいい読みしてるさ。あそこの森の奥には、どこかにそういう場所があるさ。そこはおそらく、魔脈さ」

「魔脈……魔力の噴き出す場所だっけ」

「そうさ。魔脈からは濃い魔力が噴き出しているさ。だから魔脈の周辺では、強い魔物が現れるさ」

「なるほど……。逆に言えば、魔脈のない普通の場所だと、魔力濃度が低いから、強い魔物は生まれないと」

「そうさ。魔脈じゃなければ、Cランクの冒険者で魔物の討伐は事足りるさ。たとえ魔物が大量発生していたとしても、Cランクの冒険者の集団で対応可能さ」

「……ということは、魔脈であれば、Cランク以上の、それこそBランクやAランクじゃないと太刀打ちできない?」

「そうさ。ちなみに魔人は、人間の身で魔脈に浸ることで、魔力を体内に取り込んで生まれるさ。だから魔人の危険度は最低でもB級以上となっているさ」

「……ちなみにだけど、フマは?」

「オレは、A級か、ぎりぎりS級の魔力量を持ってるさ。それを言うなら、ケイはA級のフェンリルヴォルフを討伐してるから、実力的にはA級以上さ。ま、キーグリッドを……いや、その話はやめとくさ」


 フマはちらりと護衛の男を見やる。

 常識の話をしているためか、男は僕たちの会話に興味なさげにしているけど、この距離だと聞こえてはいるだろう。


「おそらく、森の奥で新しい魔脈ができたさ。その影響を受けて、魔脈の魔力を取り込んだスライムが大量発生しているさ。そのスライムは魔力源として重宝するから、捕獲して売り払おうって冒険者が、アイル村に多く滞在しているさ」

「ああ……それで、あの人数か」


 おかしいとは思っていた。

 ギルドの依頼書の数に対して、冒険者の数が多すぎること。

 それによくよく考えてみれば、村で避難命令が出た後に居残っていた冒険者の数も、あの村の規模に対して多すぎた。

 僕が食堂で100人抜きできたということは、それだけの実力のある冒険者が来ていたということなんだ。


「アイル村には近々、最低でもBランク以上の冒険者で構成された魔脈の調査隊が出向くさ。今は魔脈のスライムの捕獲に、CとDランクの冒険者が多数滞在しているが、それも近いうちにはいなくなるさ」

「……ねえ、僕のこととその新しい魔脈、何か関係があると思う?」


 僕は思わず考えてしまう。

 フェンリルヴォルフ、フマ、キーグリッド……それぞれが、神代魔法の件、つまり、僕に関係してあの村に来ていた。

 だったら、この魔脈の件も、なにかしら僕と繋がりがあるのかもしれない。

 そう疑ってしまう。


「あー、それは疑いすぎさ。たとえ神代魔法を使ったとしても、魔脈を生み出すのは困難さ。言い換えれば、神が関与しても、魔脈を生み出すのは難しい。そんな案件に、ケイが関わっているとは思えないさ」

「そうか。いや、それならいいんだ」

「ケイの経験を鑑みれば、気持ちは分かるさ」


 フマは瓶の上から飛んできて、僕の肩を慰めるように叩く。

 僕はお礼を言っておいた。


「そういえば、ついでに聞いてもいい? 魔脈は神様が管理しているって聞いたんだけど、神様には、1人1人に魔脈が与えられているの?」

「さあ? それは知らないさ。魔脈の管理者が神という話は聞くが、それ以上の情報はないさ。憶測だけは飛び交うがな」

「そうか……。ありがとう」


 シア様やロニーちゃんに対応する魔脈があるかと思ったけど、本人に聞くほかないらしい。


 それから僕らは、途中護衛の男からニィの素性を聞かれたりもしたけど、特にトラブルもなく、お昼まで馬車に乗っていた。

 なお、尻の痛みは、フマの風魔法で風のクッションを作ってもらうことで解決した。魔法が便利すぎて涙が出そうだ。




 お昼は、馬車を停めて、周りを警戒しながら食事を取ることになった。


 護衛の4人組の荷物は馬車の荷台の奥に放り込んであり、彼らの食糧はそこから取リ出していた。

 僕は異空間から食糧を取り出す。どうせ隠したところで、見た目荷物のない僕らではすぐにばれるので、最後尾の護衛の前でそれを行った。

 これで僕が魔法使いだと信じてもらえるかと期待したけど、本人は僕の魔法を疑っているのか、それとも面白くないのか、最初は驚いてはいたもののすぐにむすっとした仏頂面に変わってしまった。


 4人組を代表して、クロッシュさんからお昼を一緒に取らないかと誘われた。

 僕らは断る理由もないのでそれを引き受ける。

 そこに御者の3人が加わり、そこそこの大所帯となる。


「実は俺たち、昨日と一昨日は避難の護衛をしていてな。よければ何があったのか、聞かせてくれないか?」

 

 食事の間は、フマがキーグリッドとの戦いを喋っていた。

 まず、フマの相手が魔人の高位四家の当主ということで歓声が上がり、次に、フマが極大魔法を使用していたことで感嘆の声が上がり、無事にキーグリッドを撃退したところで拍手が起こり、最後にニィを救い出したところで喝采が起きた。


「お前は、そのとき何をしてたんだ?」

「僕ですか? 僕らがパーティを組んだのはその後なんで、そのときは村にいましたよ」


 最後尾の護衛をしていた男が僕に尋ね、僕は予め考えていた嘘をつく。

 嫌がらせだろうか。いや、確かに疑問には思うか。

 僕は、キーグリッドを撃退したフマのいるパーティのリーダーということになっている。であれば、何かしらの活躍をしたのではないかと勘繰られるのは仕方がない。


 フマの話が終わると、冒険者組がニィを質問攻めにした。

 ニィは魔王城での暮らしを、どこかの貴族の生活みたく話すので、ぼろが出ることはなかった。

 僕にとっても新鮮な話が聞けたので嬉しい。


 そうして食事が終わると、僕らは再び出発した。

 以降、夜になるまでは、襲撃の予兆はなかった。




 日が落ちる前に、野営によさそうな場所を見繕い、今日の進行は終わりを迎える。

 馬車を森の中に停め、傍で野営をする。

 夕食を取った後、僕らはそれぞれテントを張った。

 フマにやり方を聞こうと思っていたけど、フマはテントで寝たことがないらしく、やり方も知らないようだったので、クロッシュさんに聞くこととなった。


「誰も張り方を知らないとは、よくそれで護衛をしようという話になったもんだ」

「……僕は、先日冒険者になったばかりでして、すみません。見て覚えますので」


 それから無事、僕とニィはクロッシュさん指導のもと、2人用のテントを張り終える。

 見張りに関しては、僕らとあちらで1人ずつ出して、ペアで務めることとなった。


「お嬢ちゃんは、大丈夫なのか?」 

「実力は確かです。あ、下手に手を出すと、冗談抜きで殺されかねないので注意してください」


 クロッシュさんの心配に、僕はそう忠告しておく。

 ニィの場合、襲撃もそうだけど、相方の冒険者から手を出されないか心配したくなる。

 でも、むしろ、手を出した冒険者のほうが危険なので、そちらの心配したほうがいいのかもしれない。

 まあ、そうなっても自業自得だけどね。


 見張りの順番は、僕らのほうはニィ、僕、フマとなった。

 あちらは、クロッシュさんが2番目で、最後尾にいた男が3番目だそうだ。

 

 さて、そろそろ休もうかという時間になった。

 僕らは3人で、ひそひそ話をする。


「ねえ、ニィ。昼間から尾行されていたけど、尾行のほかに、本陣が大分近付いてきたね?」

「ええ。見張りの人間が3人。森の奥に、人間が65人」


 僕とニィが魔力感知で怪しい人影を捉え、報告しあう。

 そこにフマが意見する。


「十中八九、盗賊さ。寝静まってから、襲うんじゃないか? こういうときは、護衛のリーダーに報告するさ」


 ということで、僕はクロッシュさんに報告した。

 すると、クロッシュさんは感心したように口笛を吹く。


「ぴゅー。そりゃ、すごいな。いや、盗賊の数もそうだが、あんたらの魔力感知の精度だ。これなら確かに、腕のほうも期待してもよさそうだ。

 しかし、盗賊のほうはやべえな。こちらの見張りの2人だけじゃ、とてもその数を捌き切れないし、だからといって全員で徹夜するのも避けたいところだ。

 とはいえ、こちらから打って出るのも厳しい。この森の中を、逆に返り討ちにされるのがオチだ。

 そうなると、全員で徹夜するしかないんだが……」

「状況的には、割とまずいんですか?」

「ああ。仮に全員で徹夜したとしよう。こちらはずっと緊張状態を強いられる。それに引き換え、盗賊どもは襲撃のタイミングまでは休んでいられる。

 もちろん俺たちだって徹夜くらいでへばるほどやわじゃねえが、しかし体力と精神をすり減らすのも事実だ。それだけでも分が悪い。

 しかも、ただでさえ数でこちらが劣っている。普通にやりあったとして、向こうの戦力にもよるが、無傷とはいかないだろうな。特にこの暗闇だ。仲間が死ぬことも頭に入れておく必要がある。

 そして最悪なことに、俺たちの任務は護衛だが、その荷を守りきれるかというと、まず無理だ。盗まれなかったとしても、戦闘で少なからず損壊するだろう。

 つまり、その規模の盗賊に襲われた時点で、俺たちの任務は失敗ってことだ。くそっ、ついてねえ」


 クロッシュさんは、苦虫を噛み潰したような顔をする。

 確かに、60人を超える盗賊に襲われるなんて、不幸以外の何物でもないだろう。

 ……まあ、普通なら、だけど。


 僕は一旦引き上げ、フマとニィにクロッシュさんから聞いた話を説明する。


「じゃあ、打って出ればいいさ。こちらの戦力としては十分だろ?」


 フマはにやりと笑う。


「私もそう思う」


 ニィはこくりと頷いた。


「やっぱり、そうだよね。妖精女王の娘と魔王のパーティに手を出したこと、後悔させてあげようか」


 気分が乗った僕は、そう軽口を叩いておいた。


「それを言うなら、ケイは神の使いさ」

「いや、それは建前で……」

「それを名乗る実力はあるさ。というか、ケイが普通の人間だなんて、オレは絶対に信じないさ」


 フマがどこか不機嫌そうに言う。

 僕は苦笑して、話を変えた。


「ま、まあ、そうだね。じゃあそういうことで。それにしても、盗賊って、どこもこんなに多いもんなの?」

「いや、もっと少ないさ。先日のアイル村の避難があって、盗賊のほうでも何かしら動きがあったのかもしれないさ。

 もしかしたらこの馬車が、避難の後の初めての便で、中身が魔脈のスライムだってばれているかもしれないさ。

 護衛もそれなりの腕利きを用意するのが普通だから、盗賊のほうでも、戦力を補うためにいくつかのグループが連携している可能性もあるさ」

「なるほどね。ところで、盗賊って生け捕り? それとも……」

「生け捕りにして町まで連れて行くなら別だが、そうじゃなければ殺すのが普通さ」


 僕がキーグリッドを殺そうとしたときは、仲間が危険に晒されていたから躊躇しなかった。

 でも、今回みたいにこちらから打って出るってなると、ちょっと罪悪感がある。


「分かった。殺すよ」


 でも、そこまで忌避感がないのも事実。

 転生前の僕は、人殺しにそこまで心を痛めない人間だったんだろうか?

 それとも、さっそくこの世界の倫理観に染まってきているのだろうか?

 まあ、躊躇って隙を作るよりは助かるけどね。


「じゃあ、クロッシュさんに伝えてくる。行くなら、今から行くでしょ?」

「オレはいつでもいいさ」

「私も」


 2人が首肯したので、僕はクロッシュさんにこちらの意向を伝えにいった。


「……そんなことが、本当にできるのか?」


 クロッシュさんの、疑念と困惑が入り混じった表情。


「僕としては、フマ1人でも十分だと思いますけど」

「それは……そうかもしれないが、だったらあんたとお嬢ちゃんが行く必要は……」

「経験は必要ですし、それに、フマに負けず劣らず僕とニィも腕はありますから」


 それから少しの間、クロッシュさんは逡巡していたけど、僕らの魔力感知の件、そしてキーグリッドを撃退したフマの実力を見込んで、ゴーサインを出してくれた。


「魔力感知で相手の位置を特定できるとはいえ、矢に関しては反応できないだろうから気をつけろ。

 俺たちのほうでは、馬車の近くで荷の護衛を継続する。あんたらは、盗賊の本陣を叩いてきてくれ。

 もしも盗賊のカシラだと特定できそうな所持品とか、あるいは首でもいい、持ってこれる余裕があれば持ってきてくれ。後々の証明に使える。

 あと、無理はすんな。慎重に行け。危なそうだったらすぐに戻って来い。あんたらがやられたら、魔力感知が得意じゃない俺たちでは荷が重い。あんたらの命が、俺たちの命にも繋がっていることを覚えておいてくれ」


 クロッシュさんの言葉に僕は頷きを返して、僕らは行動を開始する。


 一方クロッシュさんは、他のメンバーに説明に行っていた。

 そちらのほうでは僕らの行動に反対の声が上がっていたものの、最終的にはリーダーの指示に従うということでまとまったようだった。


 こうして僕らにとって初めての、盗賊の蹂躙が始まる。



 戦闘にまで入れなかった。

 話が長いよ……。


 的中率の低い予告ですが、次回、盗賊を倒して村に到着します。

 

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