辻斬り2
夜、シノトは街中にいた。正確には街の中の家の屋根に座っていた。そこは街中を見渡すことができていた。その家の下を見ると剣を携帯した二人が歩いていた。統一された制服で、その動きからは隙がない。
(剣警隊か・・)
シノトが様子伺っていた。瞬間。
「うわあああああーー」
突然、夜の街に悲鳴が響いた。
シノトは、急いで声のした方向に向かって走った。いや、走ったというより跳んだといった方が正しいだろう。シノトは身軽に屋根の上を飛んでいった。人から見たら、猿かそれとも、化け物かと思われたかもしれない。そして、声がした辺りの屋根に着くと地面に着地して走り出した。シノトは走りながら、鼻をヒクヒクしていた。
(血の匂いだ、もう少しだな)
街中を走りながらシノトは〝匂い〟をたどって走っていた。普通の人なら有り得ないことである。しかし、シノトは駆けつけた。駆けつけて見るとそこには、一人の男が倒れていた。
「大丈夫ですか、しっかりして下さい」
シノトは急いで駆け寄り、男に声をかける。
しかし、男は背中と前を袈裟懸けに斬られ、死んでいた。シノトは、手を合わせ、魂の安らぎを祈った。その時、遠くから複数の足音が聞こえてきた。シノトは近くの建物の角に隠れた。それから数秒後、四~五人の集団がやって来た。しかし、シノトはその集団を見て眉をひそめた。
(あれは、頭巾や布で口元を隠しているがあの服装は、〝剣警隊〟のものだ)
しばらく様子を見ていると、男の一人が剣警隊が所持している通信機で何かを話し出した。それから男達はその場で頭巾や布を取ると今、駆けつけたかように検分し始めた。そして、騒ぎを聞きつけやって来た人達の対応もし始めた。シノトは、その場から去った。シノトの頭の中は疑問でいっぱいになっていた。
(どうなっているんだ、これは?)