決着
「うわっ、マジかよ!?」「珠依さん、本気!?」
決闘を見ている生徒達からどよめきが起きる。
なぜなら、桔梗の木刀には、〈炎〉が刀身を包んでいたからだ。
「私も、私の家に伝わる〝剣技〟で相手します。」
「まさか〝魔法剣技〟でくるとわ」
シノトは、多少、驚いた。
魔法ー。この世界では、自分自身が持っている〝霊力〟〝魔力〟とも呼ばれているもので〈火〉〈水〉〈土〉〈風〉〈 雷〉に分類される属性の自然現象を引き起こすものを言う。さらに、学院で学ぶ剣士は自分の武器に魔法を加えて戦ったりする〝魔法剣技〟という技術を学び、持っている。そして、学院の生徒の中にも剣技以外に魔法を極め、〝魔法使いーウィザード〟になる生徒も何人かいたりする。
「すごいな」
(今の、僕じゃ、魔法は無理だ。よし)
「我が刃に灯る炎よ 今こそ、我の敵を切り裂け」
「珠依流〝炎斬〟」
桔梗が上段に振りおろした瞬間、それに続き、炎の刃がシノトに放たれ、爆発し、決闘場の地面の砂が舞い上がる。
(やりました)
桔梗がそう確信した瞬間。
舞い上がる土煙を貫き、〝何か〟が桔梗の左頬を掠めていった。
「!?」
直桔梗は驚きすぐ様、自分の頬を掠めていったものを追う。すると数メートルの先に一本の〝木刀〟が落ちていた。
(まっ、まさか、あれを〝投げた〟というのですか!?)
桔梗はその事実に驚愕した。
そして、土煙の中から声が微かに響いた。
「四季創剣流 秋ノ型〝団栗〟」
「え!?」
「アィテテテテテテ!!」
その次にドタッと音がして、土煙がおさまると、そこには、倒れて苦痛に耐えるシノトの姿があった。
「勝者。 珠依 桔梗!」
審判員の言葉に見ていた生徒から歓声が沸き起こった。しかし、勝者である桔梗だけは呆然としていた。対するシノトは今でもその場に倒れて苦痛に耐えていた。