決闘前日~桔梗側
学院の練習館で珠依 桔梗も木刀で練習試合をしていた。
「やあっ!」
「ふっ」
上から下へ振り下ろされた木刀を横に動いて避けると素早く切っ先を相手の喉元に突きつけた。
「まっ、参りました」
「いい打ち込みでした」
「ありがとうございます!」
お互いに握手を交わした後、桔梗の周りには多くの女子生徒が集まっていた。
「お疲れ様です!」
「ありがとう」
何人かの女子生徒達が桔梗に称賛の声を掛ける。
「あ……あの、どうして、あんな〝奴〟と決闘などをするんですか?」
そんな中で一人の女子生徒が称賛とは違い一つの質問をした。
その瞬間、場の空気は変わった。
桔梗の表情も試合の時と同じように真剣なものに変わった。
彼女が言うあんな〝奴〟とは、志乃飛のことである。
「あの人の実力を見極めたいからです」
「なっ、なぜでございますか?」
女子生徒は疑問を持つしかなかった。
学院では問題児、落ちこぼれ、とも呼ばれている彼を何故エリートである桔梗が勝負を望むのか。
桔梗は言葉に迷ったが言葉を考えて答えた。
「明日になれば、わかることです」
そう明日になれば。
桔梗は誰にも気づかない程度に拳を強く握った。
(確かめて見せる!あの人の実力を)