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平凡男と危険すぎて抹消されたアクマ  作者: 折れた筆
第三章 九尾巫女の厄日編
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一難去ってまた一難

 こうして大罪悪魔たちに関わった俺と、西からやってきた九尾の巫女さんにとって、とてつもなく厄日な一日は終わりを告げた。

 ボロボロ、いや、ボロッボロになった俺の部屋は無事アンノウンに修復してもらった。

 というか修復させた。どれほどのボロボロ具合かは、通常修復では間に合わず、「Overcall」まで使わせた辺りから察していただきたい。

 おとなりが空き部屋でよかったと心の底からそう思う。

 周辺ご近所さんの記憶操作までするハメになったんだぞ。

 まったくもってとんだ迷惑だ。

 裁判から一日も間を置かずに呼び出された怠惰の大罪もモバイルPC画面からぶっちぶちと文句を言っていた。

 ちなみに持ってきたのはレヴィアタン。

「マスターが強くなったらどうこう」という話も今回は半分近くルシファーが原因ということで流される運びとなった。

 ルシファー、大罪三柱に囲まれてお説教。

 そうそう、ルシファーがわざわざ家に来てまで伝えようとした「言い忘れたこと」だが、なんでもそろそろ一度実家の方(イギリス)に帰省するらしい。

「厄介ごとのタネが消えた、YES!」と心の中でガッツポーズととも叫んでいたのだが、代わりに「ちょっと携帯よこしなさいよ」と番号を強奪された。

 ミカエルが知っていて自分が知らないという状況がお気に召さなかったらしい。

 コイツらを着信拒否にするかどうかは、また後で考えよう。


 ああ、後、これも一応重要だから伝えておこう。

 昨夜はお仕置きフィーバーな夜だったからな。

 結局ルシファーも九尾も精神に瀕死の重傷を負ってぶっ潰れた。

 わざわざアンノウンに確認してもらってHP5%を切るまで面倒を見たんだから間違いはない。

 両者ともに口から魂をびちびちはみ出させて、あの世だか彼岸だか、三途の川だかを一泊旅行してきたらしい。

 その間、ぬけがらになった体のほうは、雫ちゃんも込みでアンノウンの核シェルターに預けた。ほんとなんでもありだな、あのチビ。

 いいか? やましいことはなにもしてないからな。ここ重要だ。

 無意味に疑心暗鬼になったアンノウンが、背中に銃口を押し付けてきやがったぐらいになにもしていない。

 寝る前にはシェルターの出入り口に、呪われた『名状しがたいバールのようなもの』をぶっ刺したぐらいだ。サービスシーンは一切なかったよ、チクショウ。

 てかあれ、コズミック・ホラーより出品のブツだから、夜中めっさ怖かったんだぞ。

 泣くし、うめくし、カタカタうるさいし。

 まさかアンノウンのやつ、余計なイメージ付加してないだろうな?



 そして一晩明けて今日。

 俺は京都に帰るという雫ちゃんの見送りに駅まで足を伸ばしていた。

 目の前には出逢ったときと同様に、巫女服に九尾の耳を羽衣で覆い隠した雫ちゃんの姿。


「結局、君にはなにもしてあげられなかったな」

「いえ、いいんです。おかげでいろいろ吹っ切れました」

「これからどうするつもりなんだ?」

「そうですね、とりあえず実家に戻ります。最悪な一日でしたけど、ひとつだけ実践してみようと思えることもありましたから」


 雫ちゃんは、にっこり笑顔でこう続けた。


「『こまかいことは、殴ってから考えます』(おとーさんを)」

「そ、そう。お手柔らかにね(おとーさん死んじゃうから)」


 ぐぐっと握りこぶしを作る、いや、震わせる雫ちゃんを引きつった笑顔でたしなめる。この娘、半分九尾化してるんだよな。

 うっかり力加減間違って新聞に載るような羽目にならなきゃいいけど。


「いろいろと、お世話になりました。えーと、その…」

「ああ、まだ名「あ、うん、『センパイ』」…」


 ぽんとかしわ手打って、笑顔で俺の呼び名を決めてくれた雫ちゃん。

 …文句も言えんよ。


「…マスター、もうあきらめませんか?」


 なんだってそんなことをあきらめねばならんのか?

 俺はごくごく普通のことをやろうとしているだけだ。違うか!?


「あのな、雫ちゃん。俺『まもなく一番線、東京行きの電車がまいります。

 危ないですので、白線の内側までお下がりください』…」

「あ、急がな。ほんならセンパイ、また改めて会いにきますなぁ」

「…ああ、またね、雫ちゃん」


 改札をくぐってバタバタとかけていく雫ちゃん。


「………」


 なんか言えよ、アンノウン。


「…ん?」


 なにか紅いものが落ちているようだ。

 雫ちゃんが落としたのかと思って拾いにいってみると、そいつは三センチぐらいの大きさでストラップが付いたフェルト製のネコミミ巫女さん人形だった。もちろん雫ちゃんそっくりの。

 思わず笑った。なんともタイムリーな落し物だこと。

 次に会ったときにでも渡すとするかね。

 人形を胸ポケットに押し込んで駅に背を向け、歩き出す。


「帰るか」

「はい」


 ルシファーはイギリスに帰省し、九尾は京都に去った。

 これでしばらくはのんびりと過ごせるだろう。


「どうも、こんにちは」(金髪の青年)


 ルシファーはイギリスに帰省し、九尾は京都に去った。

 これでしばらくはのんびりと過ごせるだろう。


「よう、てめぇら」(赤髪の不良)


 …ルシファーはイギリスに帰省し、九尾は京都に去った。

 これで、しばらくは、のんびりと…ッ!


「マスター、泣かないでください」

「今度はなんだよ、ドチクショウ! 今なら神だって殺してやっからな!」


 悪魔と妖怪を処理しても、まだこの町には天使どもが残っていた。

 まったくもって一難去ってまた一難もいいところだ。

 まだまだ厄日は終わらない、のか。てか最近泣いてばっかだな俺っ!

 ほんと、もうやだ、こんな展開…。


 追伸。

 俺は気付かなかったが、胸ポケットにしまった巫女さん人形のネコミミがぴょこりとはみ出していたらしい。

              Fin

第三章、完結です。

毎度のごとく、累計データを活動報告に載せておこうと思います。


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