番外編 レヴィの危険なナースコール
毎度おなじみ、特に読む必要はない番外編第三弾。
今回の主役は諜報活動担当の嫉妬の大罪、レヴィアタン。
彼女はただいまナース服に身を包み、深夜の病棟に紛れ込んでおります。
「みなさんこんばんわ。レヴィアタンです。
呼ぶときはレヴィでもレヴィアタンでもかまわないけど、ひらがなで『たん』だけは許可しないからそのつもりでよろしく」
彼女はストーカー特性を標準装備しているため、堂々としていればだれにも見咎められない。だれも特に気にしない。
目的地は、ここ。ただいまアンノウンのゲイ・ボルグに心臓刺されて入院中のラファエルさんの個室であります。
「と、いうわけで、やっほー、ラファエル。まだ生きてる?」
「…Zzz…」
寝てますね。ちなみにラファエルさんは二十歳ぐらいに見えるおねーさんです。
「元気でなにより。お見舞いに点滴にガソリン打っとくね」
「いやいや! 死にますからそれ!!」
「あ、起きた?」
「起きた? じゃありません! 永眠させる気ですか、あなた!」
少なくとも、発覚したら医療ミスじゃ済まないだろうねー。
「まあ、その辺は割りとどーでもいいし」
「――どっ!?」
そんなわけで、今回は情報通なお二人にきわどいネタバレ話をしていただこうか、という主旨です。
「拒否ったらガソリン打つから。よろしく」
「は、白衣の悪魔…」
Q.智欲の大罪のマスターについて、可能な限り教えて。
「謎の凡人。実は神に加護られてるんじゃないかと推測してる。
あの人の名前、なんど知人にたずねても聞き取れなかった。
ラファエルは名前知ってる?」
「…いえ。こちらも似たような状況です。
おそらくトップシークレット扱いを受けているのではないでしょうか?
語りたくても語れないのではないかと思っています。ルール的に」
「ああ、これ?」
/「アタシ、一応本名は『ルーシー』っていうのよ。バラしたくなかったけど。
ムカつくからついでに教えてやるわ。ミカエルが『ミハエル』で、ウリエルが『ウルフ』、レヴィは『瑠美』、アスモが『明日奈』よ」
/「精神波長が合う人間は、その名前や呼び音も似通ったところが出てくるようです。
ミカエルがいい例ですね。
常日頃から『ミカエル』に近い名を呼ばれ続けて生きてきたわけです」
「やっぱりそう思う?」
「他に考えられないですよ。
『智欲の大罪の本名がモロバレする名前』だとしか考えられません」
※ネタバレ情報・マスターの名前が出せない理由。
物語の根幹に関わっていた制約ルール。
第38部段階でピンときた人、正解です。
「同意する。智欲の大罪の『アンノウン』は仮の名前。
本名を推測できる材料は、マスターが日本人であることと、神の邪魔が入ること。
つまり『マスターは漢字で書ける名前』で『智欲の大罪の本名は神にとって都合が悪い』が条件だと推測される」
「主を悪く言ってほしくはないのですが」
「番外編でそのルールは通用しない。文句あるならガソリン。
とにかく情報が足りない。ヒントはどこかにあるのかもしれないけど、検索条件がわかってない状況ではどうしようもない」
「確定は難しいでしょう。
もしかしたら『鍵は智欲の大罪自身が握っている』のかもしれませんね」
「あとは智欲の大罪召還時の推測。
だけどこれもネタバレは無理だと思う。
極論智欲の大罪がイレギュラーを起こしたのかマスターがイレギュラーを起こしたのか、可能性半々で確定できない」
「マスターが凡人なのか、異常なのか、判別にはいたりませんね。
まあ、お題通り『可能な限り』答えたのでよしとしましょう。
ですが最後には答えを探り当ててみせましょう。
ええ、情報班の誇りにかけて」
「ん」
Q.なんかネタバレ情報ないの?
「はぁ。アバウトすぎですね。
…こちらの知るかぎりですが、第三章開始当初、智欲の大罪に復讐心を燃やした作者が執筆しましたところ、各所で傲慢の大罪や九尾の説明セリフを横取りして、大変ウザい感じに仕上がっていたそうです」
「『こいつはマズイ』って感じで頭冷やして、今の状態に落ち着いたらしい。
もっとも、その代償としてモチベーション大幅ダウンしたようだけど」
「いい迷惑ですね、ほんと。いじられるこっちの身にもなってほしいですよ。
ただでさえ出番少ないのに…」
「ガブリエルよりマシだと思う。うちもベルゼブブとかアスモデウスとかも
出番ほとんどないし。…まあ、ベルフェゴールはむしろ喜んでたけど」
「怠惰の大罪と一緒にしないでください。さすがに不愉快です」
「ま。それはそれとして、ルシファー・サタンの同一人物説について、この物語限定の関係者達を基にして考えてみたらしい。
ちなみにその説明は美味しい役どころだと判断。
次章でわたしがぶんどっといた」
ビッと親指立ててサムズアップするレヴィアタン。
「自分だけちゃっかりと…」
「ほかには作者の大罪認定条件なんてどうかな?
わかりやすく要約するとこんな感じなんだけど」
『核兵器を筆頭として、化学兵器に細菌兵器にと爆発的に戦争に貢献する知識欲求は、
大罪に足るものである。○か×か?』
『現代においても完全にはなくならない戦争。その根源である勝利欲求は、
大罪に足るものである。○か×か?』
「大罪さん探そうと思ったら世界に聞け、と。
ぶっちゃけ世界をハデに騒がせてる欲望なら大罪に採用。そんな感じ」
「天使から見ればとんだ迷惑ですよ、まったく。
…まさかもう一柱増えるとか言い出さないでしょうね?」
「どうだろう? なんか既存の有力悪魔にアタリをつけてるらしいことは
知ってるけど」
「第三章は下準備だとでも言うつもりですかね?
こちらはウリエルしかまともに動けない状態だというのに…」
ラファエルさんは心臓風穴、ミカエルくんは動き回ってますけど、一応上下まっぷたつ中で完治はしておりません。
後方支援が得意分野のガブリエルさんは、両者の治療で手一杯。
このまま名前だけの存在となってしまいそうな勢いです。
影ではすっごくがんばっているというのに。
「うっ、意識したら急に痛みが。…いた、いたたたた」
胸を押さえて苦しみだすラファエルおねーさん。
「だいじょうぶ。こんなときは落ち着いてナースコールを――(ばきっ!)
…あ。。」
………破壊しますた。
「……じゃ。そーゆーことで」
片手を上げて即回れ右。撤退するレヴィアタン。
「――ちょ、待ち痛ッ!」
「傷に障るとよくないしね。ラファエル、おだいじに」
「…もう十分すぎるほど、障ってますから! い、痛たたた」
「先生。501号室のラファエルさん。急変です」
「せめて部屋の番号、嘘つかないで…ぅ」
冗談抜きに死にかけるラファエルさん。
「あ。すっかり忘れてた。これ、お見舞いのプリン。
生きてたらあとで食べて」
「あ、あなたねぇ…いいわ。絶対あとで覚えておきなさい」
用は済んだとばかりにさっさと立ち去るレヴィアタン。
その後、ラファエルはナースコールの電源が切れたことを不審に思った看護師さん(レヴィアタンと違って本物)に無事発見され、一命を取り留めたらしい。
両者の間にだれにも語られぬ因縁をひとつ増やして…。
11月24日に第三章完結、及び次章構築期間に突入。
再開は12月予定です。




