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平凡男と危険すぎて抹消されたアクマ  作者: 折れた筆
第一章 ルシファー強襲編
1/83

平凡男とアクマの誕生

貴殿は『七つの大罪たいざい』と呼び記された事象をご存知だろうか?

『大罪』…それは、その名が記す通り、人を狂気へといざなう欲望の極みであり、大いなる罪。

この大罪というものには、そのそれぞれに対応する『悪魔』と呼ばれるモノタチが存在し、その欲望に堕ちた者を皆等しく常識の埒外へと誘い、そのうつわかれた者たちへと問いかけ、時に破滅すらもさせる。


 /(ある日、さえない大学生だったはずの俺は、とある図書館で不思議な本に…たぶん捕まった)


一つは傲慢ごうまん

悪魔はルシファーが司るとされる、自己顕示欲の極致。


 /(その本は不可視・透明で手触りだけでなんとか本と認識できるような、実にナンダコレ?な本)


一つは嫉妬しっと

悪魔はレヴィアタンが司る、執着心や狩猟欲の極致。


 /(もしその時の自分が誰かに見られていたら、実に滑稽なパントマイムを披露していたことだろう)


一つは憤怒ふんど

悪魔はサタンが司るとされる、喪失と憎悪を糧とする怒り。

自他に破滅を求める欲の極致。


 /(意を決して本を開いてみれば、心臓を触られるような違和感と全身の脱力感)


一つは怠惰たいだ

悪魔はベルフェゴールが司る、人間の三大欲求が一つの睡眠欲の大罪。


 /(血を抜かれたかのような感覚。暗くなる視界の中で、それでも俺の眼は、脳は、脈動するその本が発する息吹を確かに感じていた)


一つは強欲ごうよく

悪魔はマンモンが司る、金欲。特に物欲を指し示す、現代社会においてもっとも力在る罪。


 /(自分から抜き取られていくなにかに膝をつく身体。そして本は逆に色付く。本が在ったはずの場所に見えたのは、小さな小さな赤ん坊)


一つは暴食ぼうしょく

悪魔はベルゼブブが司る、三大欲求が一つ、食欲の大罪。


 /(その時、俺は確かにこう思ったはずだ。『産まれた』、と)


一つは色欲しきよく

悪魔はアスモデウスが司る、同じく三台欲求が一つ、性欲の大罪。


 /(赤子は成長を続けた。後に俺は思う。もしもこの事象で感謝すべきことが一つだけあるなら、それはこの成長だけだと思う。子育ての経験など自分にはない)


これにて七つ。指して「七つの大罪」なり。

しかし人の罪と欲は数知れず。故に在るべき罪に形は無し。


 /(そして成長した幼児は問うた。「あなたが私の宿主ですか?」と)


其の一つは人を人たらんとせし知識欲…。

指して「智欲ちよく大罪たいざい」なり。


 /(その時、俺は、確かに、間違いなく、ドきっぱりと、全力を以って応えたはずだ…「いいえ!人違いです!」)


汝、抗うことなかれ。智欲の大罪に、不可能の文字はなし。


 /(だが、人生そうそう思い通りにいってはくれなかった…チクショウ)

この物語は、歴史上の全知識隷属能力を持つ智欲の大罪による、作者泣かせの理不尽・非常識チートフィクションです。

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