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魔王、始めてみました(仮)  作者: LostTower"魔咲"
プロローグ:The beginning of story
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00-01「回想:Reminiscence」

――――いまどき勇者なんて職業は儲からない――――


そう考えて、俺――八城勇志――は、勇者をやめた。


 だって考えてもみろ。

 勇者という職業は基本、強制的に呼び出された異世界人にすぎない。

 雲の上の醜い大人たちのが欲望の赴くままに魔界を侵略し、その土地の溢れんばかりの資源を我が物にするためのただの道具の一つ。

 そして、利益を吸い取れる分だけ吸い取る。後に残るのは、それの一パーセントにも満たない少しばかりの資源だけだ。

 そんなわけで、勇者の懐は寂しい。給料前のサラリーマンの方が、まだ持っているんじゃないかと思うぐらいに少ない。

 まあ、一般人からの依頼ならをこなせば、多少なりとも手元に入る。入るのだが、この税金が厳しいご時世では払える金なんて微々たる物。

わずかな金額しか手元に入らないということは、アイテムや装備、旅先での宿泊代などの出費を、切り詰めて生活などをしなければならないということだ。。

そして、それでも厳しい時がたくさんあった。

例えば『鎮まぬ灼熱の邪龍ダークフレイム・ドラゴン』。ありきたりな名前だからといって侮ってはならない。こいつはかなりの強さを秘めている。

 ギルドのつけたランクだと、S級に分類される。

S級というのは、あの聖騎士団ですら一瞬で全滅まで追い込まれかねないというレベルの強さを秘めている魔法生物に付けられる区分だ。さらに並の防御魔術しかしていない場合、首都ですら瞬く間に地図上から消滅する可能性も少なからずある。そのくらい天災に等しい存在なのだ。

 そんな化け物を、今代の勇者はたった三人の仲間とともに倒さねばならないのだ。

当然、そいつを倒すのには、膨大な時間と費用がかかる。

なら倒さなくてもいいじゃないかと、思うかもしれないが、野放しにしておく訳にもいかない。

倒さないと国家の滅亡すらありあるからな。

しかしながら、その危機を退けたときの報酬金が金貨三十枚程とはいささか少なすぎる気もするのだが……。

 確かに、金貨というのは慎ましく生活すれば、それ一枚で大人が一月生活できるくらいの金額はあるのだ。

だが、たとえA級の魔獣を倒すために必要と考えられる最低ランクの装備を購入するとしても金貨にして二千枚以上もの莫大な資金が必要となる。

 おかしいとは思わないか。

 A級を倒すのにですら一人当たり二千枚。人数分に直すと、およそ八千枚。

S級はランクだけ見るとこれのたった一つ上名だけでしかないが、余裕で十倍近くの戦力差がある。なのでかかる費用も当然十倍以上かかる。なのに、報酬がたったの三十枚。

 どう考えても少なさすぎる。

 さらにそのくらいのレベルになると、回復系のアイテムの消費も激しくなってくる。

 傷跡をほぼ完全に回復できポーションが、一ついくらだと思う? 銀貨十五枚? 圧倒的に足りないな。そんな微々たる額じゃ、痛みをごまかす程度のものすら買えない。答えは金貨二枚だ。

そのための金を浮かすために、俺たちのパーティの魔術師は、いつも回復魔法を使っていた。

 今度は、魔力完全回復の薬だ。いくらだと思う。金貨五枚だよ。五枚。何でも、成人を迎えていない妖精族エルフ女性の血液をベースに作るものなので、たいへん高価な品物になっているそうなのだ。

 ふざけるな。そう言いたくなるよな。だから勇者、止めたんだよ。

 ちょうどいいタイミングで、新しい職業を見つけたからな。なかなかやりがいのありそうな仕事だし、これを機に、そっちに転職するものいいかなって思って。

え? 何を始めたかだって?


 並いる魔族を従える魔界の王。簡単に言うと魔王。


 そうだ、ここで一つどうでもいい話をしよう。

 この世界では、八つほど属性がある。

 光、闇という上位二属性と炎、水、雷、土、風、氷の下位六属性だ。

 そしてこれらの属性に、強い適性があるものはその属性と同じ色の目や髪を持って生まれてくる。炎なら紅。水なら蒼。風なら碧といった具合に。

 そして、純度百パーセントの日本人である俺の目と髪は当選黒い。もうわかったよな。

 黒――漆黒――は、闇の属性色。

 それともう一つ。

この世界の寿命は、一次関数のような値を示すらしい。昔の仲間が、そう言っていた。

さすがに個人差はあるようだが、基本的には、本人の持つ魔力量に関係しているそうだ。さらに、治癒能力も同様になっているらしい。

つまり召喚されて、溢れだすぐらいの魔力を得た俺は、当時の魔王と同様か、それ以上の能力を持っていることになるのだ。

闇属性との親和性が高く見え、また、この世ならざる魔力量を持つ俺にふさわしい職業だろ。

 だから俺は、魔王を始めた。

この世界に暮らす尊い命を守るために。この世界で出会った仲間たちのために、平和な世の中を築くために。

 俺は自ら闇に手を染めた。


 ――――そうするのが、正しい事だと信じて…………


どうも、初めまして。LostTower"魔咲"と申す者です。

この作品は、昨年の八月ごろに書いた作品で久しくUSBにて放置されていました。

それで、つい咲くほど思い出し、別のユーザーネームで公開しようと思い連載した所存です。

基本的には、ユーザーネームで書いているほうを公開しますが、たまにはこちらも公開する予定なので、どうか見捨てないでください。

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