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壮言詩集  作者: 篠崎貴和
6/17

「緊張」


 「サクラメント」


 あぁ 神よ

 天におられる 万軍の主よ


 何をお望みなのですか!

 何をささげればよろしいのですか!


 その寵愛に与れるならば


 いかなる罪をも犯しましょう!


 地獄に落ちて なおも


 愛し続けてくれるのならば!




 「詩人(うたびと)


 古き詩人は 何を唄う

 木々のざわめき 川のせせらぎ


 どうか見せてはくれないだろうか

 その心臓の内側を

 その手に握られたペンを


 星のきらめき 風のささやき


 そして後世に残してくれ

 その気高き凡庸と

 慈しむべき普遍を




 「メモ用紙」


 メモ用紙に書き込まれた

 大量の断片が、

 とらえきれない飛沫(しぶき)となって、

 このあふれ出る 忘却の(うみ)

 洗い流す。




 「崩壊」


 それは破壊ではない。


 彼の後には、


 混沌が残る。




 「聖霊」


 (はじめ)(ことば)ありき

 というならば


 その申し子は


 何者?


 たとえば音

 空気を伝って言葉を届ける


 たとえば思考

 この電気信号


 何者は何をした?


 動かした




 「never return」


 We are falling in the dark

 and we dreaming of our past.


 There are nothing inside the light.

 End-all will come to me at last.


 My life, time, and the sight

 never return to this heart.




 「停車」


 いきなり 止まりました。


 大きく ゆれました。


 この道の先で

 事故があったそうです。


 私の知らない場所で、

 何かが私を止めている。


 だとすると

 怖いものです。



 「冤罪」


 彼らは網を放つだけ

 運が悪けりゃ引っかかる


 それから箱に閉じ込めて

 なかにインコを放り込む


 耳を捨てた 凶暴なインコ


 同じ言葉に聞き飽きて

 疲れた瞬間 さっと(さば)


 そして彼らは笑う

 今日も大漁だったと


 ただ一つ違うのは


 獲物への感謝は

 ない


 そして 獲物は

 涙する




 「緊張」


 溶けた氷を 急いで固めて、

 その輪郭を 指でなぞる。


 ささやかな支配に、

 唾をのんだ。



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