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「ヴィンテージ」
「向日葵」
ただまっすぐに 己が名を求める。
届かねば、枯れゆく。
それでもまた来る季節へ。
その不器用さの
なんと眩しいことか。
「激情」
この腸を食い破り
暴れ蠢く 激しき憎悪も
かつては雨に打たれて泣いた
幼き少年の日の 悲しみだった
「+」
足して足して 生きていく
ただの……であることは
もう できない
「喪失」
もう何かを失くすことはないだろう
失くすことも 結局は得ること
失くすことを失くし得なきゃ
失くすものなど何もない
「過不足」
言葉が足りない。
辞書をあさって読んでみる。
経験が足りない。
いろいろ試しにやってみる。
こころが足りない。
今ある分で感じてみる。
「ヴィンテージ」
時代の遺物と成り果てた
それど消えうせることもできずに
今日もどこかで晒される