ぼくのものがたり
ややホラーっぽいかもです。
気付いたら、僕はここにいた。
真っ暗で何も見えなかった。
(ここはどこだろう?)
手を動かしてみると、冷たくて堅い感触がする。
足を動かしてみても、冷たくて堅い感触がする。
顔は………動かない、けれど頬に冷たくて堅い感触がする。
(ぼくはせまいところにねているんだ!)
真っ暗で狭くて冷たくて堅い所に、僕は横向きになって寝ているみたい。
床に当たる部分の体が冷たくて、僕はぶるぶると震える。
とても冷たくて僕は体をギュッと抱えて凍えていた。
(ここはさむいよ!ここからだして!)
(ここはつめたくていやだ!おねがいだして!)
(だして!!)
(だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!)
(だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だして!だしてよぉ!!!!)
(…で た い)
真っ暗な世界で僕に答えてくれるものは何も無かった。
あまりの寒さに、体の感覚がもう無い事にも気付かなかった。
ここは、とても、さむい。
*
今は何時なのか、いつからさっきになったのか、時間の感覚が分からなくなった、今。
僕はやっぱりここに居た。
真っ暗で冷たくて堅い。
(…………)
自分が瞼を開けているのか、閉じてるのかも分からない。
けれど、ここが冷たくて暗いのは分かる。
ここは、とても、さむい。
*
僕はまだここに居た。
もしかしたら、僕が思っているほどここに居る時間は短いのかもしれない。
お腹も空かないし、こんなに冷たい所に居るのに、僕の体はまだ凍ってない。
*
僕は変わらずここに居る。
でも僕は凍ってない。固まってない。
*
僕はまだここに居る。
でもまだ凍ってない。
体は…確かめるのも億劫だ。
*
僕は今もここに居る。
これはきっと夢なんだと思った。
僕は何処かで寝ていて、その夢の中に居るんだ。
*
僕は夢の中にいる。
夢の中に居るのに動けないのはとても理不尽だけど、我慢しくちゃ。
早く目が覚めたい。
*
僕はまだ夢の中にいる。
一体僕は何時まで寝ているんだろう、いい加減誰かが起こしてくれればいいのに。
あれ?誰かって誰だろう?
*
僕は夢の中に居る。
誰かが分からなくて、あれからずっと考えている。
僕にとっての誰かって、ダレだっけ?
*
僕は夢の中で考え続けている。
でもダレも僕は思い出せない。
僕はダレを知っていたの?
*
僕は考え続けてる。
思い出せないダレかは、僕を知っていたのかな。
僕は知らないけど、ダレかは僕を覚えてるかな。
*
ダレカ ボクヲ オコシテ。
*
*
*
?
*
????
*
ナニカがボクにフれた?
*
ボクのしたの方にナニカを感じタ。
コレはナンだろウ。
アツイ?
*
僕のしたの方が熱を持っている。
アツイアツイアツイ。
*
アツいナニかは僕のおへそだった。
おへそが熱い。
でも、温かい。これはなんだろう?
*
温かいナニかのお陰で、僕は凍えずに済んだみたい。
動かなかった手もおへそに手を当てたら、動くようになった。
凄い!僕のおへそ。
*
ナニかのお陰で、僕は少しだけ元気になった気がする。
ここは真っ暗で狭くて冷たいけれど、僕は温かい。
だから、大丈夫。
僕はきっと起こしてくれるダレかをここで、待っていよう。
それまでは。
(おやすみなさい)