夢巡り逢い
彼女は泣いていた。
大粒の涙が頬を伝って落ちる。
地面に落ちるはずだが、その空間は僕と彼女しかない。
地面というものは存在しないが、僕の足は確かに地に着いている感触がある。
見渡す限り尽きることのない薄ピンクの空間。
僕は彼女に近付いてみる。
彼女の顔を見、頬に触れる。
僕は口を開き、なにかを伝えようとした。
するといつも通りに朝の日差しが僕をたたき起こす。
がらりと変わった世界には壁があり屋根がありベッドがありフローリングがあった。
時計もある。
長針と短針もある。
短針の先には8という数字がある。
遅刻ギリギリのようだ