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第8話:生き延びる距離
森の奥、夕暮れの光が木々の間に差し込む。
肩のクレイモア、腰のクロスボウ。カイの体は自然に動く。
踏み込み、引き、矢を放つタイミング、剣を振る間隔――すべてが自分の判断だ。
茂みの陰から、魔物が姿を現す。
同時に盗賊の群れも現れる。
複数の敵が同時に迫る中、カイは迷わない。
距離を測り、動きに応じて間合いを作る。
踏み込んで攻撃、引いて矢を放つ。
敵が回り込むなら、踏み返して間を作る。
自分のリズムで動き、敵の攻撃を避け、反撃を重ねる。
そのとき、森の奥から影の人物の姿が見えた。
今回は助けに入るわけではない。ただ距離を置き、カイの動きを静かに見守っている。
目が合う瞬間、互いに短く声を交わす。
「いい間合いだ、忘れるな」
カイは小さく頷いた。
「はい」
声はそれだけ。長い説明も命令もない。
それでも、カイは昨日観察した感覚と、自分の判断で作った間合いを確認できた。
戦いが終わると、魔物も盗賊も森の奥へ消えた。
カイは息を整え、剣を腰に戻し、矢を背にかける。
体の奥に、戦闘のリズムと間合いの感覚がじんわりと残る。
——世界は広い。敵も危険も様々だ。
だが、もう迷わない。生き延びる距離を、自分の体で知ったのだ。
肩の筋肉に戦いの感覚を残し、カイは森を進む。
次の冒険も、この距離感で乗り越えられる――そう確信しながら。




