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第5話:森の静かな影
森の奥、薄暗い小道。
カイは警戒しながら歩く。
肩のクレイモア、腰のクロスボウ。先日の魔物戦で少しだけ距離感の感覚が身についていた。
突然、茂みの奥から異様に静かな気配。
一人の人影が現れる。
短い槍を左手に、右手には投げるための長い槍を背に構えている。
動きに無駄がなく、木々の間を滑るように踏み込むその姿に、カイの目は自然に釘付けになる。
その瞬間、近くの茂みから魔物が飛び出す。
カイは矢を放ち、剣を握る。
「右!」
影の人物が軽く声をかける。
カイも瞬時に応える。
「わかった!」
魔物の突進に合わせ、影の人物は踏み込み、引き、絶妙な間合いでかわす。
カイも矢と剣を使い、距離を保ちながら応戦する。
互いの動きが最小限の言葉で呼応し、自然に連携していた。
戦いが終わり、魔物は森の奥へ消えた。
カイは呼吸を整え、剣を背中に戻す。
影の人物は立ち止まり、短く声をかけた。
「生き残るには、距離だ」
カイは頷く。
「……はい」
影は静かに森の奥へと消えていった。
カイは立ち止まり、呼吸を整える。
体の奥に、新しい感覚が芽生えた――距離を自在に操る感覚。
まだ名前も何も知らない。
ただ、この人物の動きは、自分の中に小さな影響を落としていた。




