第75話 悪魔眷属VS狂気の魔族
よし、眼前の脅威は去りました。あとはシグメをどうにかすれば――
ですが私が振り向くと、シグメの手が死神の顔面をつかんでいました。
「狂っちゃえ!」
高さにして五メートルも跳躍したシグメが一瞬の隙をついて狂気のエネルギーを流し込みました。手のひらに怪しく赤い光が輝き、黒いローブを纏った骨の身体を包み込みます。
まずい! あの死神を失ってしまえばこちらに勝機はありません!
もうチャンスはこの一撃しかない。瞬時にそう理解しながら私はライフルを構えます。
「きゃっ!」
引き金を引こうとしたところで、どういうわけかシグメの身体が弾かれました。
綺麗に受け身をとって立ち上がると、シグメは表情を引き締め、油断なく死神を見据えます。
「私の能力が弾かれた……? 魂レベルで拒絶された感じだったし……名付けるなら不可侵の死神かな?」
「どうやら、この死神はあなたの天敵のようですね」
「うん、普通に戦っても倒せないだろうね。まぁでも、私は元々戦闘用の淫魔じゃないし、精神干渉系だからさぁ。あまり肉弾戦は好きじゃないの」
勝機が見えました。がっくりと肩を落とすシグメ。その様子は嘘偽りない素直なもの。これなら勝てます。銃弾や背面のミサイルポッドを当てて動きを鈍らせたところを、あの死神の鎌で切り裂けばさすがに倒せるはず――
くすりと笑う声が耳に届く。
「ふふっ、だけどね。わかっちゃった」
何を? この状況で。
「そのアンデッドは確かに強いよ。でもさっきから、その悪魔シスターを護るように動いてるし、実際その子から離れられないみたいで、一定の距離までしか動いてない」
「でしたら、私がこの銃であなたを倒すまで。こうして死神の後ろに隠れていれば安全に射撃に集中できますから、今度は外しませんよ」
ルキナさんが倒れているところまでゆっくりと歩みながら、私はガスマスク越しに不敵な笑みを浮かべます。
ですがこんな状況でも、シグメは八重歯を出して微笑んでいました。
「バカだねぇ。勝てないならキミたちを相手にするわけないでしょ。狂気のエネルギーをこの世界にばら撒ければ私の勝ちなんだから」
「諦めなさい。ジェネレーターは破壊しました。もう撃てませんよ」
「だったら直接発射装置に向かって、撃っちゃえばいいてことだよね」
そう言うとシグメがクリスタルモジュールの方へ肘から先を失った腕を向けました。するとその瞬間、そこにはいた常夜の性域の構成員たちの身体が淡く輝き、その光が収束してシグメの腕に集まって切り落とされた腕を欠損した着物の袖ごと復元しました。
吸収したんです。淫力を。そしてその淫力で復元を――
淫力を吸われてバタバタと倒れる男女を尻目に、シグメが対面のドアに駆けていきます。
「じゃあね♪ 狐のお姉さん」
「待ちなさい! くっ……」
追いかけようとして踏みとどまります。私の視線の先には安らかな顔で眠るルキナさんの姿がありました。さすがにこのままルキナさんを残していくわけにはいきません。
ルキナさんを抱き起すと、死神はルキナさんの影にさっと溶けて消えました。
早く追いかけなくては。このままでは狂気ビームで、さらに被害が拡大してしまいます。
私はルキナさんを抱きかかえると、シグメの後を追って通路に出ました。
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