第72話 科学と魔法で災厄の魔族を倒す!
空間門管理室の制御室で得た情報によると、シグメは軌道防衛ジェネレーターにいるとわかりました。これは想定内です。軌道防衛全方位収束ビーム砲を利用して狂気のエネルギーをプローディオに発射したんですからきっと今は、ジェネレーターに淫力を溜めて狂気ビーム発射の準備をしているのでしょう。
忌々しい話ですが、淫力は戦乙女が扱う結晶融合炉よりもエネルギー効率が良く、それを一個人が有しているのですから、アレは淫魔級だなんて生易しい相手ではありません。淫魔の幹部クラスの個体と見ていいでしょう。
私――ユリは後ろから響くヒールの靴音にちらっと振り向きます。戦闘用にデザインされた白黒のシスター服が一瞬見えました。
この侯爵級の悪魔ならあの淫魔を倒せるでしょうか……いえ、倒してもらわなければ困ります。私だけではきっと敵いませんから。
司令部には私たちで対処できますといいましたが、それはルキナさんがどれだけ奴に食い下がれるかにかかっています。
走りながらぎりっと歯噛みをする。悪魔頼りな自分に苛立ちを覚えて。ですが心の中心は冷静に保ちます。精神を研ぎ澄まし、戦いに備えるんです。
現在用意できる最大戦力を敵にぶつける。こんな短絡的な作戦でも、迅速に動き、さらに犠牲を最小限に抑えられる作戦は他にありませんでしたから。
通路の角を折れるとそこは無人の通路。シグメがよっぽど強くて警備が必要ないのか、見張りの小悪魔級すらいません。
最奥に発電室のドアが見えます。
「あそこです。魔法の準備を。接敵直後、全力で攻撃してください」
「はい……! 死霊魔術師の鼓舞」
ルキナさんがそう言った瞬間、視界端の動体探知機に四つの反応が増えました。反射的に首を回すと、ローブを纏った骸骨が空中を漂ってルキナさんについて来ています。
上級アンデッドが四体も……しかも支援魔法に特化させているようで、ルキナさんに向かって伸ばした杖から淡い光が迸り、黒白のシスター服に何らかのエネルギーを送っています。
これなら、いけるかもしれません。プラズマライフルすら効果がなかったシグメの力場バリアも絶大な魔力の一撃をもってすれば……!
私たちはドアまで来ました。そして制御パネルに手を置き、
「行きますよ」
私がそう言うと、ルキナさんは頷きました。
パネルを叩きます。金属のドアがスライドし、広い空間が目の前に広がりました。
縦横三〇メートルの広間。中央にジェネレーター設備がある円形のモジュールクリスタルがあります。そこはアスモデウスが顕現し、その魔王を餌にしてシグメが復活した場所。その中央で、ぱんぱん、と手を打つシグメの姿がありました。
「はいはい、もっともぉぉっとしましょうね♪ お互い気持ちよくなってたくさん淫力を作ってねー♪」
クリスタルの周囲には折り重なる男女の姿。先の戦いで取り残された常夜の性域の構成員です。この人たちを淫力の発電機に利用しているなんて……! これ以上はさせません!
(次回に続く)1




