第70話 こっちの最大戦力が……
「ヤバい敵だ! どんどん来るぞ!」
「シアさんは鼠たちで応戦を! レヴィさんと陽菜美さんはその援護をしてください!」
ユリさんが指示を出すと、シアが腕を振るって骸骨鼠を戦わせ、レヴィがコウモリの羽を広げて数メートル飛び「火炎の豪腕」と唱えて手元から火炎を噴き出した。炎に包まれる敵に向かって陽菜美が追い打ちの銃撃を浴びせる。
それでひとまず押し戻せたところでユリさんが再び口を開く。
「敵の流入を止めるには空間門を破壊する必要があります。腰のポーチに爆弾がありますからそれで破壊してください」
「え、なんで!? ユリさんがすればいいだろ!」
「私は軌道防衛ジェネレーターに行きます。そこにシグメがいますから。どうにかして彼女を無力化します」
ユリさんの目にはしっかりとした闘志が宿っている。
ここで俺たちが戦っている間に敵の大将を無力化するってことか。
その決心を汲み取って俺が頷くと、
「ルキナさんは私に付いて来てください」
「ええ、行きましょう」
あろうことか最大戦力を連れて行ってしまった。
え、ちょっと……と手を伸ばすがその俺の手は虚しく空を切る。ユリさんとルキナさんは通路に出てしまった。
「行っちゃったよ……でもまぁ爆破するだけなら俺たちだけでもできるか」
敵の流入がひとまず落ち着いた今のうちに俺は空間門に走り寄った。
「ユリさんからの指示だ。こいつを爆破する。陽菜美、腰のポーチからありったけ出せ」
「ポーチってこれ? なんか四角いものが……ちょっと柔らかい。プラスチック爆弾ってやつかな? 形状も近いし……あ、輪っかのオブジェクトに引っ付いたよ」
手のひらサイズのそれは粘土のような性質があるらしく、首をかしげながら陽菜美が壁に埋め込まれた空間門の金属フレームにあてがうと、見事にくっついた。俺もそれと同じように引っ付けてみる。
足元に円が表示された。それは階段まで弧を描いていて、警告しているように赤く点滅している。どうやらスーツのコンピューターが爆発の被害範囲を教えてくれているようだ。それと同時に腕のミニ端末に爆発マークのようなものが表示された。
「これを押したら爆発するようだな。まだ押すなよ」
「わかってるよ、お兄」
それから陽菜美たちと一緒に階段を上り、安全なところまで下がる。俺と陽菜美の会話で察したのか、百匹ほどまで減ってしまった骸骨鼠に指示を出しながら無言でついてくるシアとは対照的に、レヴィはじっとしていられないようで階段先にあるドアまで歩むと振り向いてきた。
「クロコ……殺されないっといいすけど……」
「心配するのはあとだ。爆破するぞ、衝撃に備えろ」
(次回に続く)6




