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第7話 ○○されるのは俺たちの方だぞ……! 俺はそう言うが妹の反応が失礼極まりない!

「敵がちょっと頭出したから撃ったって? そんな言い訳聞きたくないよ、これだからフレンドリーファイアがあるFPSは嫌なんだよ……いや、いいってリス地が左下に変わったから私が回り込めば十字砲火クロスファイアで一網打尽にでき――」

「ファイアされるのは俺たちの方だぞ……!」


 俺が華奢な肩をつかむと陽菜美がようやく振り向いた。なぜか、うげっ、と身を引かれる。


「な、なんでお兄裸なの……!?」

「失礼な! ちゃんとズボンは穿いてるだろ」

「なにが失礼だよ、妹の部屋に半裸で入ってくる方が失礼だよ。常識を知れ、恥を知れ、あとついでに喉乾いたからジュース持ってきて♪」

「非難の中にお願いを入れるな、ちょっと困惑するだろ――って、そうじゃない! 非難じゃなくて避難しないと……!」

「どうして?」

「火事だ! すぐそこで!」

「え、ホント……うわっ!? け、煙凄いよ……ッ!?」


 ヘッドフォンを外し、ベランダ側のカーテンまで歩んでそれをシャッと開けると、陽菜美が驚いた。恐怖で身体を震わし、明るい茶髪のツインテールがぷるぷると肩口をくすぐっている。


「どうしようどうしよう……! お兄……!?」

「落ち着け、ゆっくり避難してもまだ間に合うから」

「う、うん……」


 不安げに伸びてくる陽菜美の手を取った。目を合わせ、大丈夫だ、と言うように俺は頷いた。

 見た目は可愛いのに家ではズボラで赤いジャージ姿。このだらしなくて生意気な妹を護る。絶対護ってみせる。その一心で俺は陽菜美の手を引いた。


 その時だった。

 壁が破裂するように弾け、陽菜美と一緒に吹き飛ばされる。強い衝撃が全身を包んだかと思うと、床に投げ出された。


 キーンッと耳鳴りがする。左目が焼けるように痛い。視界が黒く染まっていく。だがその痛みも一瞬のこと。あまりに強い衝撃を受けたせいなのか、身体が麻痺したみたいに全然動かなくなって、段々痛みも薄れてきた。


 死ぬのか? こんなところで、俺……陽菜美と一緒に死ぬ、のか――


 意識が薄れていく。頭がふわっとしてもう何も考えられない。


「ひ、なみ……」


 最後にそう言い残すと、身体が弛緩するのを感じた。


「面白かった!」


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