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第69話 この悪魔シスター、侯爵級悪魔なのに○○しか使えないなんて……冗談だよな?

 小さな勝利を俺が喜んでいると、そこでシスター服が目に入る。


「ルキナさん、やっぱ強ぇわ。魔法ひとつで相手が手も足も出なかったし」

「ええ、このくらいなら……」


 ジュジュジュ……!


「なんか手から煙出てますけど、大丈夫ですか?」


 俺が指差すと、ルキナさんは無事な方の手で煙がくすぶる手をパッパッと叩いた。


「いつものことです。わたくし、悪魔ですから光属性の魔法を使うと、こうしてダメージを受けてしまうんです」

「ダメージって、なんでわざわざそんな魔法なんて使ってるんですか……?」

「使えないんです」


 不思議に思って質問した俺だったが、そのルキナさんの言葉に思わずぽかんとなる。使えないって……まさか光魔法以外? 使えない? え? この人、侯爵とかいう高い位で上級悪魔みたいな見た目してるのに、まさか……ハハハハハ、ご冗談でしょうルキナさん。

 だがそれは冗談ではないようだった。


「召喚魔術以外は光属性の魔法しか使えない体質なんです。なんでも母がドッペルゲンガーでその変身能力を使って聖女の姿のまま父と致して生まれたのが、わたくしで。ですから聖女の特性で、光属性の魔法ばかり覚えてしまって……そのせいで、光魔法で身体を焼かれながら戦うしかないのです」

「魔法を使うだけでダメージを受ける侯爵様か……」


 なんて残念な侯爵なんだ。


「ちなみに、お兄さん。私も骸骨鼠の大群ボーンレミングスで戦えてるけど、本体はクソザコだから、あんまり期待しないでね」


 空間門前にいたシアが階段を上がってきたかと思うと、そんな残念なことを言ってきた。


「骸骨鼠の大群ボーンレミングスだけで十分だろ」

「じゃあ、五秒くらいしか全力疾走できなくても?」

「体力ゴミでも骸骨鼠の大群ボーンレミングスが強いか大丈夫だ」

「常夜の性域とかいう連中にあっさり捕まって、目印にコン〇ームばらまく残念悪魔でも?」

「目印残せるだけ偉いだろ」


 一問一答してやると、じゃあそうするね、と微笑むダウナーロリ。くそぉ、シアも可愛いな。悪魔なのに天使みたいだし。白いワンピースでプラチナブロンド三つ編みでのんびりした声とか儚げ要素がてんこ盛りなんだよな。

 それに俺に好意的だし、ひょっとして俺のこと好きなんじゃ……。


「あー今お兄、あぶない目してるー」

「そりゃあぶないことしてるからな」

「いや、そうじゃなくて狙ってる目。『ひょっとしてこの子、俺に気があるんじゃね』って根拠のない自信に光ってるよ」


 当たってるのが腹立たしい。俺は少しだけムキになってそっぽを向く。


「うっせ。そんなじゃねーよ」


 妹と無駄口を叩いていると、制御室のドアから金色のサイドテールがひょこっと出てきた。


「先輩先輩、来てください。なんかトラブル発生みたいっすよ」

「なんだと!?」


 はっと眉を上げ、思わず駆け寄った。陽菜美たちも後に続いてくる。

 制御室に入るとそこは大まかな長方形の空間で、中央に三つの制御コンソールがあるが、真ん中のコンソールがバチバチと火花を上げていた。

 その隣のコンソールを操作するユリさんは、うう……っと小さく唸った。


「奴ら、敵わないとわかってコンソールの一部を破壊しました」

「それがどうしたんだ?」

「これは空間門ゲート用のコンソールです。それが破壊されたということは、もうこちらからは空間門ゲートにアクセスするのは難しいです。少なくとも今すぐには――」


 と、そこで骨が砕かれる音が響きだした。空間門の方からだ。制御室の窓パネルから覗くと、空間門から小悪魔級がどんどん入ってきて骸骨鼠たちをスタンライフルで叩き潰していた。



(次回に続く)5

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