第68話 作戦開始! 空間門管理室《ゲートルーム》を占拠せよ!
「みんな、奴らに噛みついちゃえー」
シアのダウナーな声が響くと、骸骨鼠が肉のついていない喉をチューチューと鳴らしながら走り出した。
突然の敵襲に「ぎゃー!」とか「敵襲だァ!」とかキーキーした叫び声を上げる小悪魔級。そんな彼らを骨の波が飲み込み。階段に座っていた奴の喉に噛みつき、二階部分の壁際にいた奴らにも押し寄せた。
噛みつかれた小悪魔級たちは、スタンライフルを撃って撃退しようとしているが、アンデッドには効果がない。撃たれても骸骨鼠たちは撃たれた反動で少しよろめくばかりだ。アーマーの隙間をかじり取られ、小悪魔級たちは狂ったようにスタンライフルを振り回す。
麻痺毒の効果が出てきたのか、ばたばたと小人が倒れ、金属の床にアーマーが擦れる音が響く。
その間、彼らの脇を駆けたユリさんとレヴィが、二階部分の制御室と思われる部屋に飛び込む。銃声と打撃音、それとキーキーとうるさい悲鳴が響いて聞こえる。
戦場の迫力に気圧され、俺は思わず身体を丸めた。だがそれでも懸命に走り、一〇メートルほど進んだところで、
「お兄、左側二階!」
「お、おう!」
反射的に銃口を向け、陽菜美と一緒にドアからぞろぞろと出てきた小悪魔級を撃っていく。
発射するとずっしりとした反動が身体に響く。引き金を引くと、思いのほか命中し、銃弾が当たる度に小悪魔級のアーマーから火花が散る。それが目に焼き付いて、どくどくと心臓が早鐘を打つ。
来るんじゃねぇ! 引っ込め! 引っ込んでくれよォ!
撃ちたくない。人間に似た生き物を撃ち殺すなんて相当心が痛い。だがそれでも撃つしかない。でないと俺や陽菜美、他の皆だってあぶないんだ――って、ええっ!?
カチッ、カチッ。
引き金を引いても弾が出なくなった。弾切れだ。早く新しいマガジンを入れないと。
「リロード、お兄、援護して!」
「俺もリロードだ……!」
迂闊だった。初めての戦闘で射撃のペース配分を考えていなかった。俺も陽菜美も慌てて腹のポーチからマガジンを取り出す。その隙を小悪魔級が見逃すはずもなかった。
スタン弾が容赦なく降り注ぐ。
着弾すると陽菜美の身体が淡く輝いた。エネルギーシールで防いでいるようだが、さすが淫魔だ。男の俺じゃなくて真っ先に陽菜美を狙った。きっと捕まえて犯す気だ。
陽菜美はスタン弾にびびってツインテールを振り乱し、飛び退いた。
「何やってんの! お兄のバカッ! 私に集中放火がきてるじゃん……!」
「待ってろ、今倒すから……!」
「援護します。串刺し光槍」
俺がリロードに手間取っていると、ルキナさんの声が聞こえた。その直後、二階でスタン弾をばら撒いていた小悪魔級たちの胸に光の槍のようなものが何本も突き刺さり、ばたばたと床に沈んだ。
ルキナさんの援護のおかげで落ち着いてリロードできた。光の槍で串刺しになって殺された奴らを目にして怯んだ小悪魔級を見ると、陽菜美はすかさずライフルを撃った。
俺は階段を上って制御室と反対の部屋を見る。誰もいない。会議室っぽい部屋は空っぽだ。ほっと息をつく。そして敵が全滅したことを確認すると、俺はちょっと神経質になって小さく首を捻る。
空間門管理室を制圧できたけど、さっき見せてもらったユリさんの視点映像は、戦乙女の部隊でも空間門管理室の奪還はできなかったのに、俺たちだけでこんなにあっさり……悪魔三姉妹が強かったおかげか、敵の体勢が整っていなかっただけか、とにかく上手くいった。
(次回に続く)4




