第61話 神界侵略の結末
「ARM‐B1《ビーワン》、発射!」
通路に止めてあった高機動車両に飛び乗る直前、発射コードを叫びました。
二発の弾頭が背面のミサイルポッドから発射され、油断しきった淫魔の周囲にガスをまき散らしながら飛んでいきます。そして弾頭が着火すると、一瞬で炎が広がり、二千度の赤い波が彼女たちを飲み込みました。
面制圧弾頭、ARM34P《フレイムスピアⅢ》。個人用のミサイル兵器だから被害範囲は五メートルほどと狭めですが、二発撃てば通路の端から端までを焼くことは容易です。
黒焦げた淫魔を見る手間も惜しんだ私は、運転席に飛び込んで高機動車両をバックさせます。
二〇メートルほど一気に下がって、ハンドルを切り返し、ボンネットを前に向けて前進させ、通路を折れながらアクセルを全開にします。その際、私は思わず渋面を作りました。
視界の端に黒い二つの影が動いたから。それは真っ黒な人形なのに口だけ三日月のように歪んで白い歯が覗いていたから。
まだ生きてます……! あのバケモノどもはッ!
ハンドルを握りしめた手が震えてきます。驚異的な生命力を持つあの淫魔に恐怖して。
それでも私は逃げます。この情報を司令部に伝えなければなりません。
ドッキングゾーンまで後退すると、そこにいた戦乙女の部隊長が「現状を報告せよ」と言ってきました。もう答える余裕もなく、私は壁に埋め込まれている制御パネルを指差します。
「この先の味方は全滅です! 早く隔壁を!」
それから私はテュール様に重々しく報告しました。あの淫魔は狂気と幸福をまき散らす特殊個体だ、と。このままではドッキングゾーンを死守できないどころか、神界を淫魔に取り込まれる、と。
数分後、テュール様は決断しました。
『第一神界域を放棄する。下界に投下せよ』
警報が鳴り響き、ドッキングが解除される重々しい音が振動となって足元を揺らします。巨大な質量の物が落ちているんです。私は隔壁越しに神界の一部が失われていくのを感じながら、目の前の危機が去ったことに安堵しました。
そして今、再びその危機が目前に迫ってきています。
私は通路を進み、会議室の扉の前に立ちました。
これから対策会議が始まります。
もう失敗はしない。あの淫魔を駆逐し、安寧秩序の世界を維持するのです。
私はそう誓いながら扉を開きました。
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