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第57話 戦地へ急行! ワルキューレチーム!

 近い。すぐそこに敵がいます。

 そう私が思った直後、助手席の戦乙女が腕を振りました。


「ここで止めてっ! 突破されたとき、すぐに離脱できるように!」


 ドアから一〇メートルほど手前で停車し、私たちは観測ステーションに入ります。

 人間界をはじめとする下界を観測するためのそのステーションは、左側を黒い宇宙空間を一望できる観測パネルがあり、逆側には制御コンソールや計器が並ぶワークスペースになっています。その手前は階段になっており、上った先のここはバルコニーのような構造です。おかげで観測ステーションの全体が良く見えます。


 上から見渡せるそこに荷電粒子機関銃と装甲パネルを設置した戦乙女の背後に、私は駆け寄りました。


「現状は!? どうなってますか!?」

「隔壁を爆破された! 敵が雪崩のように押し寄せてきます!」

「応援に来たんならさっさと撃って!」


 怒号にも似たその声に弾かれるように、私は階下を覗き込みます。

 そこにはゴブリンに似た茶褐色の小人が押し寄せてきていました。怪しい光沢のあるアーマーを着て、手には近代的なライフルを持ち、ゲスな表情で牙を剥いています。

 小悪魔級インプです。それもかなりの数、中隊規模はいるでしょうか。

 そう私が思った直後、


「くぅ……っ」


 隣にいたショートヘアの戦乙女が倒れました。身体に光が脈打って痙攣し、間もなく力尽きるように目を閉じます。外傷はないのに一撃で倒されました。

 スタンライフルによる射撃です。奴ら淫魔は、基本的に獲物は殺しません。女性を捕まえたあと、犯すためです。薄汚い手で胸を揉みしだき、私たちの純潔を穢す者たち。変態パワーでハイになったイカれた連中です。


「援護を! 私たちが切り込みます!」


 私がそう叫ぶと機銃手が「りょ、了解……ッ!」と言って銃口を奴らに向けました。その機関銃の銃声と一緒に私の声も響きます。


「目標敵中隊、ARMアルム‐A1《エーワン》! 発射ファイア!」


 ミサイルの発射コードが響いた直後、背面の個人用誘導弾システムが起動し、半ダースのマイクロミサイルが発射され、敵にめがけて飛んでいきます。他の戦乙女もこれにならって次々とミサイルを発射。数十発のミサイルが小さな煙を上げて軌跡を描き、小悪魔級に着弾します。弾頭が弾け、敵前衛に打撃を与えました。

 そのおかげで敵の射撃が弱まります。まさに好機。一気に攻める時です。


 私が階段から飛び降りると、一緒に来たフル装備の戦乙女たちも後に続きます。

 着地した瞬間、スタン弾が私の腹部に着弾しました。ですが数発の被弾なら何ともありません。エネルギーシールドに弾かれ、霧散します。

 さっき倒された戦乙女は強化服を着ていただけだから昏倒しましたが、装甲服なら問題ありません。私たちは迫り来る小悪魔級たちを一気に押し返します。


 着弾したスタン弾の火花とプラズマライフルの発射炎が青白く瞬きます。肉が焦げ、煙が立ち込め、小悪魔級たちは次々と倒れていきました。

 そして後方からの荷電粒子機関銃による掃射も合わさって敵チームは瓦解し、やがて動く者は味方だけになりました。私は銃口を左右に振って安全を確認すると、通信ウインドウを開きます。


「観測ステーション、クリア。敵勢力は排除しました」

『よくやった、戦乙女ワルキューレ。増援が到着するまでその地点で待機せよ。増援到着後は、一気に前進し、奴らから空間門管理室ゲートルームを奪還する』

「了解しました」


 視界の端に映ったテュール様の雄々しい顔に返答すると、私はチームを流し見ました。



(次回に続く)3

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