第48話 おお……俺にも儚げなヒロインが!?
陽菜美が彼らに銃口を向け、きりっと睨みつける。
「動くな! 動けば撃つ、この男みたいになりたくなかったらじっとしてて」
「なにをバカなことを……この数なら我らが有利だ。構わん、応戦を――うぐ……っ」
スタン弾を撃たれ、若い男が倒れた。
「動くなって言ったよね? 私、射撃の速さなら結構自信あるから、また妙な動きを見せたら沈めるよ」
「そんな面倒なことしなくても全員眠らせたらどうだ?」
「お兄、それだと情報とか聞き出せないでしょ。まぁ向こう出方次第では眠らせるけどね」
「わっ、わかった! 降参だ、さすがにこんな情けない格好でやられたくない……!」
俺たちの不穏な会話が最後の決め手になったのか、半裸の男が手を上げると、その場にいた九人の男女が続々と降参していく。陽菜美が銃を振って彼らを部屋の一角に集める。
その間、悪魔姉妹たちは常夜の性域の連中を俺たちに任せ、微笑み合っていた。
「でも、よくここがわかったね。私が拉致られてそんなに時間が経ってないのに」
「ふふん♪ それはっすねぇ。じゃじゃ~ん♪ アタシの愛犬、クロコのお手柄っす」
すぐ近くまで歩み寄っていた黒いポメラニアンを抱きかかえると、レヴィがにっと笑いながら腕を突き出す。シアの目の前に持っていかれたクロコは「くぅん……」と挨拶をするように頭を下げた。
「もしかして、犬に私のニオイをたどらせたの?」
「ちょっと違うんだなぁ。なんと、コン〇ームのニオイをたどってきたすよ」
「ああ、うん……この状況に相応しい探索方法だね。コン〇ームを風船にして遊んでた私が言うのもなんだけど、まさかコン〇ームで助かるなんて思ってもみなかったよ」
「お兄、さっさと話しつけてきて」
「わかったよ……あの、お二人さん。そろそろ引き上げない? ほら、こいつらを悪魔に引き渡さないといけないからさぁ」
常夜の性域たちにスタンライフルを向けたまませかしてきた陽菜美に頷き返すと、俺は悪魔姉妹の間に割って入って彼らを示すように視線を向けた。
そこには半裸の男女が一か所に固まって降参しているのだが、シアの興味は俺に向いていた。
「お兄さん? なんでコンビニのお兄さんが……」
「心配だからついてきたんだ。まぁ来てよかったな。ホントあぶない状況だったし」
目を丸くするシアに、俺は微笑みかけた。
「優しんだね。優しい人は、好き……」
「お、おお……」
何という破壊力だろう。プラチナブロンドの儚げ少女が「好き」と言いながら照れるように笑った。あまりの感動に開いた口が塞がらない。
だって、お、俺のこと好きって。最高か? これ、絶対俺のヒロインだわ。
この余韻に浸りたいというのに、感動する俺の横で「わー! わー!」と騒ぐ奴がいた。
「ダメっす! いいっすかシア、この男はアタシの足を犯した鬼畜店長で、女の敵なんすよ!」
「足を犯したって、どういう状況? というか絶対レヴィの方が力強いし、犯されるわけないでしょ。大方、お兄さんが自分の好みだったから自分からヤられにいっただけじゃない?」
「そ、それは話せば長くなるから、はい割愛! とにかく先輩はダメっす!」
「すんすん……発情したメスのニオイがする。やっぱりおかしいと思ったよ。犯されたのに殺してない時点で、気に入ってる証拠だもんね」
「誰が発情してるっすか!? もう、変な事ばっかり言って、この子は……」
「ちなみに、どうだった? 気持ちよかったの?」
「……ノーコメントっす」
シアにニオイを嗅がれてレヴィの顔は真っ赤だ。興味津々なシアに問いかけられても、もう何も言い返せていない。
(次回に続く)3




