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第43話 見た目はギャルっぽいのに怖ろしいことするよなぁ……

 頼もしいけど、異世界でFPSが始まってるよ。ジャンルが違いすぎるだろ、これは。

 ともあれ、見張りは倒せたし、鮮やかな狙撃を見たレヴィが、陽菜美ちゃん凄いすね、と褒めていたくらいだから順調に事は運んでいるようだ。


「広いね。大型トラックでも余裕で搬入できるよ、この通路の幅は……」


 陽菜美はそう言いながら通路にスタンライフルを向けていた。

 崖の中の通路は天井にライトがあって見通しがきくが、それでも薄暗い。床付近や壁の所から青白い光に照らされていてなんとなく不気味な雰囲気。人工物のない森の中で突然こんな施設が出てきただけでも異質なのに天井も床も壁も滑らかな金属に覆われている。しかもどうやら地下へ続いているようでゆるやかな傾斜になっていた。


 不気味だな……なんで森の中にこんなものが……。


 風でわずかに揺れる明るい茶髪のツインテールの後ろに立ち、俺も注意深く覗き込んだ。


「近未来的だよな……地下に続いているようだし、核シェルターかも」

「異世界に核シェルター? 意味ないでしょ、絶対この世界核ミサイルなんてないよ」

「じゃあ他に何があるんだ? どうせなんかの施設だろうけど……」

「きっと研究施設だよ。生物を研究してる所で、ウイルスとか遺伝子強化で生み出したクリーチャーがいるって展開。でもここは大昔の研究施設で、今は現地人からダンジョンとか呼ばれてる的な事情があるとか。ちなみに、深い階層になればなるほど強力なクリーチャーが出てきて、最下層にボス部屋がある造りが定番だね」

「凄い説明してくるじゃん、このゲーム脳は」


 ぺらぺらと語る陽菜美の背に、俺は微妙な笑みを返した。

 ずいぶんSF的な解釈だが、どうもちぐはぐな感じがしていた。悪魔とかいるファンタジーな世界なんだから、クリーチャーじゃなくてモンスターだろ。

 だがそれを言うと、どう見ても未来的な施設だからクリーチャーの方がしっくりくるよ、と返される。ごもっともだ。


 ――バキッ。


 通路を覗いていると、横から嫌な音が響いた。


「レヴィ……っ!? お前何してんだよ……!」

「気絶してるだけだから、足を折って動けなくしてるんすよ」


 振り向いた俺が目にしたのは、男の足をあらぬ方向に曲げたレヴィだった。


「こいつ、見た目はギャルっぽいのに怖ろしいことするよなぁ……やっぱ悪魔だな」


 平然と足折るとか、こいつを怒らせると実は命の危険があるのでは? いやそれだと俺、普通に殺されるようなことしてるし、暴言とか足裏くすぐりとか無理やり足ツボとか、心当たりが多すぎる。だが裏を返せば、殺されてないなら許されてるということ。


 たぶん、そう……そうだよな?


 不安な感情が込み上げてきたところで、くぅん……、とクロコが俺の足元に寄り添ってくれた。


 慰めてくれるのか? ありがとうな、クロコ。


 犬と寄り添い合う俺をよそに、レヴィに陽菜美が歩み寄っていた。


「レヴィさん、そんなことしなくても数時間は気絶して動きませんよ」

「えーでも、仲間に叩き起こされたりしたら、目を覚ますでしょ」

「そりゃまぁ、そうかもしれませんが……」


 陽菜美が気難しげに頷くと、


「だったら無傷で目を覚まされたら面倒なんで、折っときますね」


 またバキッという音が響いた。足首を持ち上げて、ノックでもするように小突いただけで二人目の足もあっさり折られた。

 レヴィの軽いテンションと痛ましい光景の温度差がえらいことになっている。もう俺も陽菜美も何も言えなくなった。



(次回に続く)3



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