第42話 完全にFPSゲームの動きだ――すごく頼もしいぞ!
ホントにヤバい連中だった。
スケベで敵を倒すって発想がすでにエロ漫画のそれだ。生贄って言ってたけど、一体どんなことをされるかわかったもんじゃねぇぞ……。
そんな俺の危機感を感じ取ったのか、レヴィが顔を暗くした。
「でも戦うしかないっすね。悪魔が捕まってるって話してて、しかもシアの手掛かりもあるって状況っすから」
「ああ、行くしかねぇ。状況証拠的に捕まってる悪魔はシアだろうし」
正直怖い。帝国の特殊部隊とか、俺じゃ絶対に相手にならないから。あっさり殺されるだろうから。だがそれでも、行くしかない。兵士たちの話じゃあのダウナーロリ……シアは生贄で、しかもスケベで悪魔を倒すなんてただの凌辱だ。俺には凌辱の美学がある。相手が本気で嫌がってる凌辱はしない。ガチで泣かれるんじゃなくて嬌声すんだ。
決意にも似た強い想いを胸に抱き、俺はざっと仲間たちを見回した。
「よし、フォーメーションを決めるぞ。陽菜美が先頭で俺とクロコがその後ろ、レヴィはしんがりだ。後ろを守ってくれ」
「ちょっと待ってよ、あぶないでしょ。私を先頭に立たせるんじゃないよ」
「これを見ろよ、丸腰のコンビニ店長だぞ? 俺の方があぶないだろ。その装備は飾りか? SFチックな銃も持ってるし、余裕だろ」
「これ、殺傷能力ないよ」
衝撃の発言。妹も戦えなかった。
やけにメカメカしくて、滑らかなフォルムの銃が殺傷能力ゼロとか、マジでない。なんでそんなビームライフルみたいな見た目で、役立たずなんだよ。
思わず眉間に皺が寄る。それからこれ見よがしに俺がどっと疲れたように肩を落とすと、陽菜美は首を横に振った。
「いやいや、使えないと決めつけるのは早計だよ。これ、一応非殺傷のエネルギー火器でスタンライフルって言うんだけど、当たればほぼ一発で相手は気絶するらしいよ」
「おおすげぇ……でも今さら言うのもなんだけど、ちゃんと当たるのか?」
「実弾と違って真っ直ぐ飛ぶし、照準がしっかりしてたら外すことはないよ。それに確殺はとれなくても戦闘不能がとれれば十分だし」
にやりと笑う陽菜美。さっきまで、ヤバいよお兄、とか言ってた奴とは同一人物に思えないほど自信に満ち溢れている。
きっとゲーム感覚なんだろう。エイムとかキルとかダウンとか言ってるし、撃っても相手を殺さない安心感もあるからサバゲーのようなテンションだ。
そこで俺は陽菜美に「じゃあ見張りを戦闘不能させてみせろよ」と試しに指示を出した。
すると――
「一人目戦闘不能、よし、二人目戦闘不能」
あっさり見張りを倒してしまった。
銃口から光の弾が飛んだかと思ったら綺麗に白いローブの胴体に当たって、それから身体に電気のようなものが脈打つと二人の男が痙攣しながら倒れた。
「ホントに気絶してるみたいだな」
緩やかな窪地を下って男たちのところまで行った俺は、白いローブを蹴って確かめていた。
「通路、安全確認。ひとまずは安全だよ、お兄」
金属の枠が飛び出し、トンネルのような構造になっている崖下を小刻みに何度も覗き込んで陽菜美が報告してきた。その動きは撃たれないように頭だけ出したり引っ込めたりしていて、完全にFPSゲームの動きだ。
(次回に続く)2




