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第36話 こんなもん買うしかねぇだろ! 異世界でネットショッピング!

 商品の売れ行きを計算してから、データを打ち込んで商品を入荷させる。コンビニの店長になってからの日課だ。


 こうしてパソコンに入力して翌朝に倉庫を見ると、頼んだ商品が棚に置かれているからわざわざトラックで搬入しなくていい。正直このシステムは助かる。店を閉めた後にユリさんたち神側の連中が補充してくれているんだろうが、経営系のゲームみたいだ。


 そう思うとちょっと気楽だ。最初はどうなるかと思ったけど、客入りも順調だし、バイトもレヴィが増えた。


「くぅんっ!」

「おお……っ!」


 驚いてマウスをカチッと鳴らした。投影ウインドウが切り替わるのを尻目に、俺はモフモフした感触を膝に感じながらほっと息をついた。

 ぶんぶんとご機嫌な調子で短い尻尾を振り、俺の膝の上ではしゃいでいる。


「今仕事中だからおりてろ」

「くぅん……」


 しょんぼりと俯いてクロコが膝からおりる。

 クロコだけをマンションに置いておくのは心配だからということでレヴィが見られない間だけスタッフルームで面倒を見ているんだが、こいつはやたらと俺に懐いていた。隙を見ては膝に飛び乗ってくるし、犬なのに猫みたいに足にすりすりと身体を擦り付けて『遊ぼうよ』と言っているように誘ってくる。

 暇なら遊んでやってもいいが、今は仕事中だ。相手にしてる暇は――


「ん?」


 ウインドウが俺もよく利用している某ネットショップのウェブサイトに切り替わっていた。

 さっきクリックしたときに開いたのか、と思いながら見るとKAMIZONカミゾンという文字が目に入った。


「またパクリじゃねぇか……」


 神にはプライドがないのかすぐにパクる。KMSOKカミソックもそうだが、とうとうネットショップまで進出したか……え?

 奇妙だ。あなたのオススメが出ている。ログインしないとオススメは出ないはずなのに。


「お? おお? なんか面白そうな商品があるぞ……!」


 一見するとただのヘッドバンド。頭につけると額中央に小さなカメラがついていて、一人称視点で撮影するときに使われそうなアイテムだが、その名前は興味深かった。


 商品名、時止めヘッドバンド。説明欄には、首を高速で左右に振ることで脳をシェイクし、装着した本人の超能力を引き出して周囲の時間を止められるものらしい。五秒までしか止められないという時間制限はあるものの、胡散臭い臭いがぷんぷんする。


 こんなもん買うしかねぇだろ。


 カチッとクリックして注文。

 すると一〇秒ほどたってから、スタッフルームのドアが開いた。


「先輩、なんか先輩宛に荷物が届いてるっすよ」

「えっ!? さすがに早すぎるだろっ!? どうなってるんだKAMIZON……っ!」


 驚きながらレヴィから小包を受け取って包装を開くと、そこにはやはりさっき注文した時止めヘッドバンドが入っていた。



(次回に続く)1


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