第32話 これが俺の秘技だ! 万引き犯を成敗!
「じゃあもっと嫌そうにしろよ。俺にこんなことされてるのに」
「もう最悪っ、こんな童貞そうなくせに大胆犯行店長に性癖がバレるなんて……!」
「俺はただの童貞ではない。夢見る童貞だ。夢、つまり理想を抱いているからこそシミュレートに余念がないんだ」
パフブラシをくるっと反転させ、丸っこい棒状の柄を足裏に押し当てた。
「だからこんなこともできるぞ! 秘技! セルフバイブ!」
「な、なにこれぇ……っ!? 足の裏がっ! じんじんしてぇ……っ!」
目をぎゅっと閉じてレヴィは堪える。だが指を小刻みに動かし、電動マッサージ器を模倣した俺の手から伝わる振動は滑らかな棒の先端を通して足ツボにダイレクトな刺激を与えていた。
日々の修練の成果だ。長年シコシコしてきた自分磨きによる手の動きは残像し、いくつも拳が見えるほど早くなった。それを応用し、さらに小刻みに動かすことで得た能力、それがセルフバイブだ。
「こ、こんな技を持ってるなんてっ、さてはアンタ、人間じゃないっすね」
「俺を童貞そうなんて言った罰だ! どうだ!? 足ツボマッサージだぞ! 不健康なら激痛が走るだろ?」
「ひぃっ、淫魔っす! これは悪魔の危機っ! この世界にもっ、くうっ……あの下劣な触手が伸びてたなんて……っ!」
「淫魔だと? なんのことだ?」
「店長さんのことっすよっ、こんな痛気持ちいいことして不思議な力まであるんっすからっ」
息を切らしながら口走ったレヴィの言葉が気になって聞き返してみたが、ふざけた答えが返ってきただけだった。俺はじれったくなって指に力を込めた。
「話せ! 淫魔とはなんだ!」
「ひぃぃぃ! くぅんっ、悪魔の天敵っす……っ! 悪魔は淫魔、淫らな悪魔の勢力に追い立てられて魔界から人間界にっ、流れ込んできたんすよっ……んんっ」
セルフバイブの振動を強くしてやると、レヴィがせきを切ったように話し始めた。
「悪魔の宿敵は天使とかじゃないのか?」
「あいつらとはっ、対等な力関係っすっ……くぅ、でも淫魔はアタシたちの常識が通用しない化け物でっ」
「そうか……だが俺は人間だ。淫魔じゃない」
その俺の言葉を聞いた瞬間、レヴィは気持ちよさそうに目を細めながら眉をひそめた。
「だったら、思い知ることっすね、くぅんっ、悪魔が倒された次は人間を犯し尽くしますっ、この店も、店長さんも犯されるんすよ……っ」
「そうか……情報提供感謝す――」
「ちょっ、ま、待ってっ、もう無理ぃぃぃぃぃ、あっ、くぅ~~~っ!」
俺が言い終わるまえにレヴィが倒れた。
ちょっとせめすぎたかな……というか効きすぎだろ、俺の足ツボマッサージ。普段から両親とか陽菜美にやってたけど、さすがに相手がぶっ倒れるほどじゃなかったし。
レヴィがとんでもなく足ツボに弱かったか、店長権限の拘束による影響か……影響といえば拘束が解けてるぞ。
ソファーに蹲って肩で息をしているレヴィを見下ろすと、
「限界を迎えると拘束が解けるのか……覚えておかないとな」
俺はどこを見るわけでもなく視線を巡らせる。
「しかし、悪魔より恐ろしい敵、淫魔とかがいる世界だなんてな……」
漠然と感じる危機感を噛み締めながら俺は表情を引き締めた。
これはいつか、対峙して退治するパターンだ。レヴィが言ったのは苦し紛れでも何でもない。あの顔は、痛気持ちいい感覚に落ちそうになりながらも強い意志を宿していたのだから。
せめてこのコンビニと、陽菜美だけでも守らないと。
そう思いながら、俺は危機感を募らせたのだった。
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