第29話 万引き悪魔少女VS店長
翌日の夕方、ギャル悪魔が入店し、店内を物色した後、フライドポテトを買ってイートインスペースに入った。
俺は彼女の同行を気にしながら店員としての仕事をこなす。
トイレに行った回数二回、雑誌コーナーをぶらぶらした回数一回、あとはごろ寝かスマホのような魔道具をいじったり、ノートに何かを書いたりしていた。
そして閉店が近づいた時、客入りが落ち着いたところで、俺はスタッフルームに入った。
「陽菜美、あいつは何か万引きしたか?」
「うん、バッチリ押えたよ。棚のセンサーのデータに残ってる。間違いなく鞄か、あの軍服ワンピースのポケットに入ってるよ」
「よし……あとはコンビニから出たところを捕まえればいいだけか……」
「あっ、お兄……! あの子、帰りの準備をしだした……!」
その陽菜美の声に弾かれるようにして俺はスタッフルームから飛び出した。
レジカウンターを出て、自動ドアまで走り、帰ろうとするギャル悪魔の肩をつかんだ。
「お待ちください、お客様」
「えっと、なんすか?」
「ちょっと鞄の中、見せてもらえますか?」
「いや、それはちょっと……無理っす。見られると、その、恥ずかしいんで」
茶色い学生鞄を胸に抱えながら身をかがめるギャル悪魔。怪しい。どうやら万引きした商品は鞄の中らしい。
「防犯カメラに映ってたんですよねぇ。あなたがうちの商品を鞄に入れるところが」
これは嘘だ。映像をじっくり見たわけじゃないから知らない。だが、この言葉は効果的だった。ギャル悪魔の顔が、さっと血の気が引いたように青くなった。
「え……防犯カメラって、あの……逃れられない証拠となるあの……」
さすがに現代日本を知ってる悪魔だけあって飲み込みが早い。
スタッフルームに来るように言うと、観念したのかギャル悪魔は素直についてきた。レジカウンター横のドアから入ったところにあるソファーに彼女を座らせ、鞄の中身を調べていく。
すると案の定、化粧品ができた。口紅やファンデーション、マスカラと、さらにがめついことに四千円以上もするパフブラシまで入っていた。
「万引きしたって認めますか?」
「……はい」
「動くな」
「――うう……っ!」
ギャル悪魔が頷いた瞬間、俺が口を開くと、彼女の身体が硬直した。店長権限が発動した証だ。それは俺が持つ絶対の能力。その名の通り店長としての権利と、もう一つ別の意味を持っていた。
万引きした者への命令権。速やかに問題を処理し、正義の鉄槌を下す能力だ。
警察がいない異世界で万引き犯に罰を与えるのは店長の役目だからな。
異世界に来て初日の夜に送られた段ボールの中に入っていた制服と紙の束。それに書かれていたことは、俺の能力についてだった。
その内容は、義眼の機能のこと、そして店長権限についてだ。大半が普通の店長にありがちな経営関連の規約みたいな内容だったが、一つ興味深いものがあった。
店長権限。万引きした者への命令権だ。ただ命令ができるとはいえ、本気で拒絶されたり、生死がかかるようなことはさせられないと、それに一回の万引きで命令できるのはしばらくの間のみ(個人差アリ)とも書かれてあった。
色々制約はあるが、まずは実際に発動したことを喜ぶべきだろう。
(次回に続く)1
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