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第21話 異世界なのにSF映画で定番のアレが……!

「はぁ……あのさ。旗振ったくらいで威嚇って馬鹿じゃねぇの。被害妄想も甚だしいぞ」

『あー! 馬鹿って言った! アタシのこと馬鹿って、酷い。ほぼ初対面なのに……』

『ええい許さん! ルキナ様に対する不遜な態度といい、妹君のレヴィ様を愚弄するとは!』

『血だ! 奴の血で今までの無礼のそそぎ落すのだ!』

『総員構え! 第一魔術師大隊から順に波状攻撃を仕掛ける! 消し炭にしてやれ!』

『あっ、ちょっとまだ話は終わってませんよ!』

「ひぃぃぃぃぃぃ……ッ!」


 ルキナさんが制止しているが、空中にはいくつもの魔法陣が展開されていた。それを見た瞬間、俺は思わず持っていた双眼鏡を放り投げ、コンビニに転がり込んだ。


「ユリさんヤバい! 交渉失敗! あいつら魔法っぽいの撃ってくるッ!?」

「交渉? 挑発の間違いでは?」

「お兄の馬鹿! 何やってんの……!?」

「そんなこと言ったてッ。あいつら最初からここを焼き払うつもりだったぞ!」


 やけに冷静なユリさんと怯えた瞳で睨んでくる陽菜美に言い返したところで、陽菜美が俺の背後をビシッビシッと指差した。


「後ろ後ろ! 来るよ、光が強くなってる!」

「ひぃぃぃぃ! 陽菜美ぃぃぃぃ……!」

「いやぁぁぁぁぁ! お兄ぃぃぃぃぃ……!」


 眩い光に照らされる中、俺と陽菜美は抱き合った。

 そして目に焼きつける。馬鹿でかい炎の塊が迫り、身の毛がよだつほどの稲妻も上空で唸り上げているのを。他にもいくつもの魔法陣からエネルギーの奔流がこのコンビニマンションを押し流すように吐き出される。

 だが窓のすぐそこまで迫ったその時、何もない空間で炎の塊が弾け飛んだ。


「え……? なにが起きたんだ……?」

「お兄、なんか見えない壁みたいなのがあるよ……」


 目を凝らすと、陽菜美の言う通り半透明な障壁が魔法を食い止めていた。


「エネルギーシールドです。拠点防衛用のものですから、その耐久力は折り紙付き。この程度の集中砲火ではびくともしませんよ」

「ほんとだ、すげぇ。全部弾いてるぞ……」


 稲妻も、魔法の光弾も、炎も、岩の塊も、ありとあらゆる魔法に対応している。コンビニマンションを優しく包む光の膜。魔法が衝突する音こそ響いているが、その音ですら分厚い壁を隔てているようでくぐもった爆音だ。本当にびくともしていない。

 ユリさんが投影ウインドウを注視し、目を細めた。


「シールド、九五パーセントに低下。さすがに数千の魔法を受けているだけあって減りが早いですね。対艦戦闘並みにダメージが……」

「どうすんだっ!? このままじゃ袋叩きだぞ、反撃しないと!」

「それでしたらご心配なく。警報は作動しています」


 手で示したユリさんの視線を追うと、天井の四隅にあるランプが赤く光っていた。そいつは魔法の爆発音に紛れてジリジリジリッと非常ベルを鳴らしていた。


 あんなベル鳴らして何になるんだ……!? 警察でも呼ぶのか……いや馬鹿だろ、警察に対処できる相手じゃないぞ、これ。


 そう言おうとした俺だったが、あまりにも常識離れした現象が目に映って息を飲んだ。

 コンビニの雑誌コーナーの反対側、そこはソファーや四角いテーブルを置いたイートインスペース。そこの壁につけられた円状の飾りに沿って空間が切り裂かれ、トンネルのように繋がったかと思うと、そのトンネル部分に格納庫のような金属質の部屋が見て取れた。


 トンネルから全身を黒いパワードスーツを着た兵士たちがぞろぞろと出てくる。

 もう言葉が出ない。あ……とだけ言って俺が口を開いて固まっていると、ユリさんが兵士たちにライフルを貰いつつ手を振って誘導する。



(次回に続く)5


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