第16話 いざ街へ! ……ん? あれは……
コンビニの入り口脇に立てられたのぼり旗を引き抜き、ユリさんが渡してくる。
白地に青い文字で『カミマート』と書かれ、神々が住んでいそうな宮殿のマークが大きくプリントされたものだ。
俺はそれを受け取ると、コンビニから追い出されるようにしてのぼり旗片手に持ち、夕焼けに染まった平原に立った。異世界を歩くにはあまりに頼りない装備だ。しかもこれから行く街は悪魔の統治下にある場所。もしかしたら人間は奴隷で悪魔至上主義の社会かもしれない。ありえる、ありえるぞ。悪魔といえば、その名の通り悪を象徴した超越的存在。残虐非道な者から人の身体を乗っ取る者、あとは対価と引き換えに人間と契約するなんていうありふれた話もよく聞く設定だ。そんなフィクションでしか見たこともない奴らとこれから対峙するのか……。
よし、どっか適当な場所に旗だけさして帰ろう。
開き直るようにそう思うと俺は眼帯を外し、熱探知および動体探知起動、と唱える。
すると視界に映るものの中にウインドウが追加された。視界の右上に表示されたそれの、同心円の中央に俺を示す白い光点が見える。レーダーのようだが、実際この動体探知機はそのレーダーそのもの。動く者を光りの点として教えてくれるものだ。
ユリさんが言うには網膜ディスプレイというらしいが、片目だけ機械の義眼なのにこうして両目ではっきり見えるのも不思議なものだ。両目を神経レースでヒモ付けして映してますので片目だけ機械でも両目で出力されるんです、と前に説明されたけどさっぱりわからん。
とにかく動体探知機の有効距離……半径二五メートルには反応なしだ。近くに危険はない。
だがもう一つの探知機には反応があった。
「お……あそこに誰かいるな」
一〇メートルほどある城壁の上に黄色く色づいたものがある。熱探知でハイライトされたそれは、どうやら顔だけ出してるようで色づいた形は人形ではなく丸い点だった。
義眼を望遠モードに切り替える。双眼鏡のように視界が拡大され、フードを被った可愛らしい顔がこちらを見下ろしているのがはっきりと目に映った。
「この距離ならいきなり襲われることはないだろう……よし、ちょっと宣伝でもしてみるか」
ばっとのぼり旗を掲げる。
バサッ! バサッ! バサバサッ!
旗を振った。運動会の応援団みたいにブンブンと振ってやった。
そうしたら慌てるようにプルプル震えてから、ひょこっとフードの頭が引っ込んだ。
「ふっ……あの様子だと街に『あ、あの店員が出てきて旗振って宣伝してましたッ!』と触れ込むだろうな。あぁ……仕事したぁ。あとは門のところにでもこの旗をぶっさして今日は店仕舞いにしようかな」
長い塀に沿って歩きながら俺はふっと笑う。
本番は明日の朝からだ。今日は早めに休んで備える時だ。
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