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第13話 コンビニが潰れたら即終了な異世界生活って何……?

「でまかせだ。ガスボンベの爆発くらいでそこまでなるかよ……そうだ。きっとそう。しかも壁越しの爆発だぞ? 爆発の威力に吹っ飛ばされたが、それでも壁の破片が身体に刺さるくらいで、死にはしないだろ」

「ガスボンベを利用した爆弾でも作っていたのではないですか? 壁が吹っ飛ぶほどの威力でしたし、ありえますよ。隣人はテロリスト、なんてことは」

「いや、安い映画とかじゃないんだから、ないって……」

「頭から否定するのは間違っていますよ。神様だっている世界なんですから何でもアリです」

「横暴だろ、そんなこと言われたら本当に何でもアリになる」

「起こったことだけが真実です。火事で死にかけていたあなた方兄妹は救われた、この事実だけは揺るぎません」


 ユリさんが一歩詰め寄ってくる。澄んだ緑色の瞳と目が合う。


「そして、あなたは私にお金に代えられないほどの恩があり、私は今、神々の見世物になる人材がいなくて困ってます。もう言わなくてもわかりますよね?」

「あぁ……わかりましたよ」


 一つ頷いてから俺は陽菜美の方に振り向いた。


「そういうわけだ。一緒にユリさんを手伝うぞ、妹よ」

「は? 意味わかんない。何普通に論破されて戻ってきてるの?」

「だってさぁ、あれじゃん。死にかけてたお前を助けたって言われたら、泣きながらユリさんに感謝するところだろ」

「……ずるいよ。そう言われると何も言い返せないじゃん」

「あ、そうです。コンビニ経営は真面目にしてくださいよ。お店が潰れたら即終了であなたたちは用済みになるので、このまま異世界に放置しますよ」

「「えぇ……ッ!?」」


 二人して目を丸くする俺と陽菜美だったが、言うだけ言って満足したのかユリさんは「後ほど仕事に必要な物品を送りしますので、私はこれで」と会釈してからリビングを出て行ってしまった。


 そんなことがあって今に至るが、不味い状況になった。

 コンビニ経営が上手くいかなかったら切り捨てる。そう言われたんだ。初日から数えておよそ三日間、なんの成果もなくてさらに四日目が終わろうとしている。


「これ、結構ヤバいよな……」

「そうだね。このままじゃ次に廃棄されるのは商品じゃなくて私たちになりそう……」


 レジに立ったまま俺が呟くと、隣から不穏な声が上がった。その声がした方に首だけ回し、ちらっと見た。

 そこには、ユリさんから送られた物品の中に入っていた黒いコンビニ制服に、縁のところに白いラインが入った灰色のスカートという格好の陽菜美が蒸し器に肉まんを入れていた。中学生にも見えるあどけなさ。その印象は、肩口までの長さのツインテールのせいかそれとも小柄な背丈のせいか、随分若い店員に見える。


 髪色もクリーム色だし、一見遊んでそうな見た目だな。もし、普通のコンビニならナンパされそうな可愛い子だしな、陽菜美って。コンビニバイトの女の子ってよくナンパされるって聞くけど、この異世界コンビニじゃ話は別だ。

 店内は閑古鳥が鳴くほど俺たち以外誰もいない。図書館のような静けさだ。


「お兄、今日の夕飯ができるよ」

「もう駄目なんだよなぁ、商品を夕飯って言ってる時点で売る気ないんだよなぁ」


 蒸しあがっていく肉まんをマッチ棒の少女よろしく儚げに見つめている陽菜美に、俺はため息交じりに言いながら諦めたように首を横に振る。


「これじゃあ開店ひと月目で潰れるぞ。どうする、妹よ」

「そりゃ異世界人からしたら、いきなりこんな建物が街の横にドンって建ったからね。いかにも怪しいじゃん、これ。世界観からはみ出しまくってるよ」

「だよな。しかも、ユリさん。これ一晩で建てたって言ってたし……」

「え? なにそれ、コンビニマンションの一夜城? 完全に攻めてるよ、あの塀を」

「それじゃあユリさんじゃなくて豊臣ユリヨシだな」

「ふふっ、なにそれ。めちゃめちゃ百合を肯定してる戦国武将じゃん」


 ユリヨシ、百合よし。うん、確かに肯定してるな。

 俺も百合というジャンルは好きだ。女の子同士でイチャイチャするあの構図は見ていて気分がいい。ブス同士の百合はビジュアルが死肉臭の花(ラフレシア)級だが、ユリさんはケモミミ美女だ。きっと最高のものになる。

 だが今はそんなことを話している場合じゃなかった。



(次回に続く)2



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