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第10話 カーテンを開けるとそこは……

 凄い……これ、投影してるのか? でも……一体どんな技術なんだろ? もしかしてその腕につけてる腕輪みたいなやつから出力してるのか? おお……なんかめちゃめちゃ近未来的だ。


 サポート内容の不満なんて吹っ飛ぶほどの衝撃。そして、そのウインドウに表示された文字も衝撃的だった。


 第一候補、コンビニ店長。第二候補、なし。


「え、なに……? これが、最適な職業? そんな……そりゃ、実家はコンビニ経営してるけど、夢も希望もねぇだろ、これじゃあ……というか何? 第二候補なしってさすがに酷くない?」


 だがそれを言うと「よかったですね。永久就職できるじゃないですか」と返される。全然よろしくない。選択しがない時点でクソ人生じゃねぇか。

 その上、ユリさんはこの結果が出るとあらかじめわかっていたかのように手際よく話を進めていく。


「コンビニについてはこのマンションの一階部分にすでに備わっているので問題ないですね。それにしても手間が省けました。コンビニ店長一択なんて、まさに天職です。すでにあるもので事足りるのですから」

「何が天職だ。最初からコンビニしか用意してないだけだろ……」


 そう言うと、なんだか腹が立ってきた。自然と眉間に皺が寄る。


「いきなり家に上がり込んで戦乙女ワルキューレだの職の斡旋だの言いやがって、おまけにあなたは一生コンビニで働けだと? ふざけるなよ、こっちはまだ花の大学生だぞ。やりたいことも将来の希望もあるんだ」

「それは生きていれば、の話でしょ」

「え……生きていればって、何? もうすでにあなたは死んでますって、そういう展開?」

「正確には、あなたはあの火事で死亡するはずでしたが、神々の慈悲によって回避されました」

「火事で死亡って、あれは夢じゃなかったのか……いやでも、それだと家が無事な説明がつかないぞ。爆発が起こるほどの火災じゃ全焼するんじゃ……」

「ええ、あなたの本当の実家は全焼しました」


 もうわけがわからなかった。本当は死んでいたとか、実家は全焼とか言われても、目に映るものはいつもの日常だ。キッチンもリビングも、俺の部屋だって全焼どころか焦げてすらなかった。


「ですが、ここ……」


 ユリさんがベランダの方に歩み、カーテンを開けた。


「城塞都市プローディオ、その壁外に構えたこのコンビニマンションは複製品。あなたが住んでいたマンションをそっくりそのまま再現しました」

「再現、だと……?」


 まだ信じられない。信じられるわけがない。

 だが疑わしく思って首を捻りながらベランダに出た瞬間、俺は絶句した。


「な……!?」


 平原だ。緩やかな起伏がある緑の大地。そして右手を見ると城壁のようなものが続いている。見慣れた街並みからかけ離れたファンタジーな景色だ。住宅街も電柱もアスファルトの通りもなにもない。すべてが嘘みたいな景色に塗りつぶされていた。


「早い話が、異世界にあなたの実家そっくりのコンビニマンションを建築しました。建築といっても、あらかじめブロック化して作った建造パーツを転送して組み合わせただけですから、一晩で完成しましたが――」

「下手!」

「は、はい?」


 いきなり声を張った俺を見ると、ユリさんは不快げに眉間に皺を寄せた。


「下手だよ、アンタ。こんなのいきなり見せたら余計に現実からかけ離れて夢だと思っちゃうよ? 仮に本当だとしてもこの景色だけじゃ中世の世界にタイムスリップしたとかかもしれないじゃん。信じてほしかったら魔法を見せるとかしないと」

「ふっ、魔法なんて使えませんよ。あんなの現象を理解できない者たちが言っている都合のいい言葉でしかありませんし」


 なんでだろう。馬鹿にされるように吐き捨てられた。

 というかこの自称戦乙女ワルキューレ、全然説得力がないぞ。



(次回に続く)


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