狂剣士の偽りの世界R4
狂剣士の偽りの世界R4
偽りは悪なのか。
それは人をだます悪行なのか。
問えばそれは首を振るだろう。
しかし、悪ではあるのだから。
その行為は延命することはできても、生存させることはできなかったのかもしれない。
ほかでもない彼女が、その悪を断じる意思をもっていたからなのかもしれない。
臆病な少女が道を踏み外した。
少女はそこから正しい道へ戻れない。
蘇らない記憶を探して迷い込んだ先で、さらに迷うことになるとは、だれが分かっただろうか。
そこで、心を歪ませた少女は、誰かと共にその先を生きることになる。
本来いきるはずだった人物ではない誰かと。
その誰かも、心を歪にゆがませていた。
自分では認識できないその歪みは、一見して不思議と2人をかみ合わせた。
それは前世から続く魂の関係が原因だったが。
それとは気が付けなかった。
少女は誰かと生きていく。
変わる世界の中で懸命に。
しかし長くは生きられない。
逃げたと思っていたそれに。
過去、捕らわれた悪夢に、結局は追い付かれてしまったのだろう。
闇の中にとらわれた少女と誰かは、さらに心を歪ませていった。
それらの歪みは、ほかの誰かにも伝播する。
闇はゆっくりとひろがっていくばかりだった。
2人は死んでも。
世界から退場しても。
それらは終わらない。
ずっと広がり続けていく。