第七話:第二次パルマ会戦(前編)
朝霧に包まれた早朝のパルマ市。
本来であれば、朝市の喧騒や煙突から立ち登る煙、正門を行き来する馬車が、街の目覚めを知らせる役割を担っていたのだろう。
しかし今、その役を果たすのはパルマ市民ではない。
整然たる軍靴の音を響かせながら市内を行進するノール帝国軍戦列歩兵達。今は彼らこそが、この町の眠りを解く支配者であった。
白と灰色を基調とした、華やかな軍服を纏うノール兵達。彼らの先頭には、歩兵連隊長らしき人物と、もう一人、鎧に身を包んだ騎兵隊長らしき人物が騎乗していた。
「初戦から二日で奪還作戦を実行して来るとはな。烏合のオーランド軍にしては動きが速いのう」
連隊長らしき初老の男性が、顎髭を弄りながら呟く。
「しかしまぁ軍団長殿も無理を仰いますなぁ。街を拠点として活用する為とはいえ、野戦に打って出よと申されるとは……そうは思わんかね?オルジフ男爵殿」
連隊長が並走する騎兵隊長に話しかける。
「命が下れば、それに従うまでです」
オルジフと呼ばれた中年風貌の男は短く、キッパリと答えた。
「あいも変わらず貴卿は無愛想だのう。軍人としての答はそうかもしれんが、オルジフ殿としての所存を聞きたいと思うてな。具体的には此度の会戦の目的について君の所感を聞きたいのだ」
連隊長の問いに対して、無視とも取れる沈黙を貫くオルジフ。暫くの間、二人の間を寒々しい北方大陸の風が凪いて行くのみであったが、何の前触れもなく唐突に、オルジフが口を開いた。
「先日、パルマ郊外で掃討戦を行っていた重装騎兵が、オーランドの軽騎兵に敗退したというのは真ですかな?」
「ワシの質問には無視かいな。うーむ、気難しい御仁だのう……まぁ、それに関しては本当の様だぞ。ただ正確には、敵の殿の中に砲兵がいた様でな。追撃で油断した所を突かれたそうだ」
「砲兵?」
今まで連隊長の方を一瞥もしなかったオルジフが、初めて顔を向ける。
「オーランドは連隊内の歩兵砲しか所持していないと聞いておりましたが」
「そう、そこなのだよ不明な点は。それにな?なんでも退却してきた騎兵が言うには、砲を操っていたのは年端もいかん小娘だったらしい。中々興味深い話だとは思わんかねオルジフ殿?」
「ふむ、仔細承知しました。もう十分です連隊長殿」
「あいやまて、まだワシの質問の答えを――」
「連隊長殿、間もなく市外西門に到達致します。布陣のご指示を」
「全く。敬老の精神が足りんな……あぁ、そうだな、第一大隊が敵正面に布陣。第二、第三大隊はそれぞれ左右翼を固めてくれ。重騎兵は最左翼で戦列側面のカバーを頼む。見ての通り、戦力は我ら一個連隊しかおらんからな、後詰をアテにするのは勘弁してくれ」
初老特有の、良く言えばとっつきやすい、悪く言えば緊張感の無い指示が方々に飛ぶ。
「そいで、オルジフ殿の有翼騎兵大隊の布陣についてだが……」
オルジフが黙って振り向く。
金と白銀の装飾が入った胸甲鎧。
鈍く光る重厚な鉄兜。
馬二頭を縦に並べても尚余る長槍。
そして何より目を引くのが、背中から頭頂部に向かって背負う様に生えた大羽根の装飾だ。
鎧が廃れつつあったこの時代においては、些か時代錯誤な出立ちである。
「旧敵国の兵とはいえ、虎の子を浪費するわけにもいかんからな。右翼の丘で別令あるまで待機しといてくれ」
「御意」
オルジフは短く答えると、馬に拍車を掛けながら勢い良く西門を潜り抜けた。
すると、門外で待機していた彼の配下の騎兵百騎が呼応する様に走り出し、オルジフの後ろに追従する。
数十秒と掛からずに、美しい方陣隊形を組み上げながら加速していく有翼騎兵大隊。
「さて、如何程か……」
オルジフの眼前には、今まさに布陣せんとするパルマ・リヴァン連合軍の姿があった。
◆
【第二次パルマ会戦】
―オーランド連邦軍―
パルマ駐屯戦列歩兵連隊 541名
リヴァン駐屯戦列歩兵連隊 1300名
パルマ軽騎兵中隊 65騎
臨時カノン砲兵団 5門
―ノール帝国軍―
帝国戦列歩兵第四連隊 1348名
帝国重装騎兵大隊 88騎
有翼騎兵大隊 100騎
◆
「イーデン隊長!敵側に動きあり!西門で待機していた騎兵部隊が移動を始めました!具体的な兵種までは特定できませんが、恐らく槍騎兵かと!あ!!次いで敵戦列歩兵も出てきました!やはりカロネード御令嬢の読み通り、奴ら野戦で決着をつける様です!」
「おう、俺は至近距離にいるからそんな大声出さなくてもいいぞ。敵にその声を届けたいんなら話は別だけどな」
カロネード姉妹、もといイーデンが率いる砲兵隊は、自軍後方の丘に陣を構えていた。
高所に陣取れば敵情把握が容易となり、且つ支援要請があれば味方の頭上を飛び越えての砲撃支援も可能である為だ。
「槍騎兵の増援が居たのは予想外だが、ここまではエリザベスの想定通りだな。出てきたのは一個歩兵連隊と二個騎兵大隊だけか?」
「はっ!その様であります!先方偵察の報告によれば、恐らくこれで全兵力かと!」
「……ここからじゃ、本当に全兵力なのか、予備を市内に残しているのか分かんねぇな」
「予備戦力がいようがいまいが、今見えてる敵戦列の撃破に全力を注ぐべきよ。一個連隊を敗走させればその時点で勝利、たとえ予備が居たとしても敵兵力の半減に繋がるわ」
砲の切り離し作業を完了させたエリザベスが、眠い目を擦りならイーデンの元に戻ってきた。
「おう、設置ご苦労。相変わらず眠そうだな。指示飛ばしてる最中に砲兵達からなんか言われたか?」
「いえ何も。イーデン隊長曰く、って枕詞につければ何でも言う事聞くのね。中々人望あるじゃない」
「年ばっかり重ねた職業軍人の、数少ない恩恵のひとつだからな」
言いつつパイプを取り出すイーデンだったが、すかさずエリザベスに取り上げられる。
「ちょっと!?火薬が近くにあるんだから火気厳禁よ!」
「おっとすまねぇ、つい癖でな。また暫く禁煙か……」
先日妹から貰ったパイプを今度は姉に取り上げられ、深く溜息を吐くイーデン。
「それでこっちの戦列は?まだ配置についていない様だけど」
この丘の真下を通過中だ、と丘の下を指差すイーデン。
そこには丘の根元に沿う様な形で、青服のオーランド戦列歩兵達が行進していた。
「……三列縦隊なのは良いんだけど、やけに間隔空けてない?」
エリザベスの言う通り、両手間隔に開いた状態で行進するオーランド兵に対し、西門から出てきたノール兵は間隔をほとんど空けず、肘がぶつかりそうな程に密集した状態で行進していた。
「あれぐらい間隔空けとかないと、行進中に隣の兵士にぶつかったりして危ねぇんだ。それに、あのノール歩兵みたいな変態行……緊縮行進は結構な練度が必要だからな。一都市を守る駐屯歩兵にそこまでを求めるのは酷ってもんよ」
「そんなもんかしらねぇ。少し練習したら出来そうなモノだけど」
「おいおい、並んで歩くだけだと思ったら大間違いだぞ。千人規模の人間に同じ動作を覚えさせようと思ったら年単位で訓練が必要なんだぜ?」
「あら、そうなのね。本で勉強しただけだとイマイチ実感が湧かなかったの」
机上論だけでは限界がある事は分かっていたが、早くもその天井を感じるエリザベス。
「最悪、勉強し直しになりそうね」
誰に言うでも無く、エリザベスは呟いた。
丘を通過して平原地帯に突入したオーランド軍は横隊を形成する為、両手間隔に広げた隙間を元に戻そうと奮闘していた。
わちゃわちゃとなりながらも、なんとかノール軍の様に隙間の無い三列横隊を編成するオーランド戦列歩兵。
対してノール軍は今までの三列縦隊行進のまま、戦列の向きだけを九十度変えれば、そのまま三列横隊を形成出来るのだ。
ドラムロールの同調行進に合わせて、生き物の様に迫り来るノール軍。上から見下ろすエリザベス達には、服の色と相まって巨大な白蛇がうねり近づいてくる様に見えた。
「行進!前へ!」
ノール戦列の横隊前進開始から遅れる事数分、オーランド戦列も横隊前進を開始し、鼓笛隊の音楽と共に双方の戦列が行進を始めた。
「敵戦列は依然として前進中!彼我の距離およそ二キロを切りました!」
「イーデンおじさ〜ん、大砲の装填完了したよー」
オズワルドの明朗な報告とエレンの能天気な報告がイーデンとエリザベスに飛ぶ。
「そろそろね。イーデン、照準命令お願い!」
「よし、各砲聞けッ!敵戦列が千五百メートルの距離まで近づき次第、砲撃地点Aに一斉砲撃を行う!」
イーデンの指示を聞いたオズワルドが、驚いて彼とエリザベスの元へ駆け寄る。
「い、イーデン殿!?畏れながら申し上げますと、野戦砲の射程は十二ポンド野砲でも一キロ程度であります!一キロ半で射撃してしまっては、全ての野砲が射程圏外となってしまいます!」
一旦落ち着け、と詰め寄るオズワルドの肩を叩きながら宥めるイーデン。
「砲撃命令は俺が出すから、ちょっとオズワルドに説明してやってくれ」
と、エリザベスを一瞥するイーデン。
待ってましたと、ずいっとオズワルドの前に進み出るエリザベス。
「たしかに、カノン砲の射程は候補生さんの言う通り、七百メートルから精々一キロよ」
「イーデンおじさん、敵が千五百メートル圏内に入ったよ〜!みんなA地点に照準して〜!」
「よぉし、いいかお前ら!地面に対して射角を浅く取る事を忘れんなよ!」
エリザベスの背後で砲撃司令が飛ぶ。
「ただそれはあくまで有効射程の話よ。撃ち方を少し工夫すれば射程をさらに伸ばす事が出来るわ!」
「く、工夫と言いますと……?」
「地点A!射角マイナス十度!丸弾!発射用意!」
「発射用意!」
「百聞は一見に如かずよッ!」
オズワルドに背を向け、砲兵達を見つめながらエリザベスは叫んだ。
「「斉射!」」
イーデンとエリザベスの同時号令と共に、カノン砲兵団の全砲門が火を噴いた。
大量の黒色火薬を燃焼させながら、青銅の砲腔から漆黒の円形弾が躍り出る。
真っ白な煙を砲陣地に撒き散らしながら、合計五つの砲弾はA地点――つまり敵戦列の五百メートル程手前の地面めがけて飛翔した。
「候補生さん!よく見ておきなさいな!あれが反跳射撃ですわ!」
「ちゃくだ〜ん、今!」
エレンの肉眼観測とほぼ同時に砲弾達が地面に着弾する。
巨大な鉄球である円形弾は、まるでボウリングのボールの様にバウンドしながら、猛スピードで整列したピン達――つまり敵戦列へと迫る。
「敵砲弾来るぞ!決して陣っ」
最前列で指揮をしていたノール歩兵小隊長に第一射が命中し、頭部が一瞬で消し飛ぶ。
続く四つの砲弾も、ノール兵の腕、脚、胴体を食い破りながら戦列の中を暴れ回り、最後には戦列を貫通し、戦場後方へと消えていった。
頭部を砲弾に食われた兵士は叫ぶ間も無く崩れ落ち、四肢をもがれた兵士は泣き叫びながらその場に倒れ込んだ。
「やったぞ!初弾効力射だ!」
「ザマァみろノールの犬共!」
「どいつもこいつもスカした顔しやがって!これで少しはアイツらも表情豊かになったろ!」
初戦の憂さ晴らしと言わんばかりに沸き立つオーランド砲兵達。
「再装填!口動かす前に手ェ動かせ!」
イーデンに叱咤され、慌てて砲腔を清掃し次弾装填の準備をする砲兵達。
「オズワルドも口開けてないで敵情報告しなさいな!ほらっ!」
「は、はいっ!?」
エリザベスにベシッと背中を叩かれ、単眼鏡を落としそうになりながらも再度的へとレンズを向けるオズワルド。
「敵中央、右翼、左翼共に行軍速度に変化なし!十五分以内に味方戦列との交戦距離に入ります!」
「聞いたイーデン!?味方戦列との交戦距離に入るまで、少しでも敵の数を減らすのよ!」
振り返らずに手を挙げて応えるイーデン。
彼の余裕が無くなってきている事は、エリザベスの目から見ても明らかだった。
◆
一方でノール側も平然と進軍しているかの様に見えて、実際にはかなりの動揺が各戦列に生じていた。
「敵砲兵陣地からの反跳射撃じゃと!?オーランドは独立した砲兵部隊を持っていないという話だったではないか!」
大隊長からの報告を受け、年甲斐も無く取り乱す連隊長。
「如何致しますか連隊長殿?軍団長殿の命令に逆らう形になりますが、やはりパルマ市内で敵を迎え撃った方が――」
「ならんならん!軍団長の命に背いたらどんな罰が待っていよう事か……兎に角!騎兵の数的優位がある限り、我が軍の勝利は揺るがんぞ!このまま歩兵は前進させつつ、最左翼の重騎兵を迂回させて敵砲陣地に攻撃を仕掛けよ!」
承知致しました、と大隊長は馬を駆って前線に戻って行く。
「それとオルジフッ!貴卿の有翼騎兵にも攻撃指示を出せ!敵左翼を側面から攻撃しろ!貴隊の騎兵突撃が成功次第、併せて我が方の歩兵も突撃させる!」
「御意」
オルジフも直接指揮の為、右翼の丘に待機させていた騎兵達の所へと合流していった。
「まったく、軍団長め。このワシを敵情把握用の当て馬としか思っとらんな……」
連隊長の垂れ流す文句は、とうとう射程圏内に入った両軍の射撃号令によって掻き消された。
◆
「小隊射撃!射撃用意!」
ノール指揮官の準備号令と共に、最前列のノール兵達が膝立ちの姿勢へと移行し、整列射撃の準備を整える。
「一斉射撃! 射撃用意!」
負けじと呼応する様に号令を出すオーランド指揮官。その掛け声に対し、最前列のオーランド兵達が、キョロキョロと周りの空気を伺いながらマスケット銃の撃鉄を起こしていく。
「構え!」
「狙え!」
まるで波立つかの様な滑らかさで、マスケット銃を順々に構えていくノール兵達。対してオーランド兵達は思い思いのタイミングで銃を構える。
寸拍の静寂の後、文字通りの火蓋が切って落とされた。
「放てェッ!」
「撃てェッ!」
両軍の戦線をなぞる様にして、白色の硝煙が次々と噴き上がる。
やはりと言うべきか、オーランド歩兵は各々が各個の判断で射撃しているのに対し、ノール側は規則正しく、小隊毎に射撃を行なっている。
「イーデン隊長!射撃戦が始まりました!多少砲撃で削ったとはいえ、あのノール戦列との射撃戦を持ち堪えられるかどうか……!」
「歩兵の心配は歩兵指揮官に任せてりゃいい。俺たちが心配すべきなのは敵騎兵の迂回だ!」
「りょ、了解しました!」
「イーデン!敵右翼の重騎兵が動き出したわ!あの大回りな動きは砲兵を狙ってるわよ!」
単眼鏡を覗き込みながらエリザベスが捲し立てる。
「カロネード殿!それは小官の単眼鏡ですぞ!?」
「後で返すからちょっと貸して……!あいつら、丘の起伏を遮蔽にしながら近づいて来てるわ!昨日みたいに一直線には来てくれなさそうよ!」
「クソッタレ、やっぱ俺たちを真っ先に狙ってきやがったか。オズワルド、戦列右翼の大隊長に伝令を頼む。敵重騎兵が貴隊を迂回し砲兵陣地へ接近中。右翼戦列の延翼を求む、ってな!」
「承知致しました、今すぐに!カロネード御令嬢!単眼鏡は後で必ず返して貰いますぞ!」
そうエリザベスに嘆願すると、オズワルドは馬を駆って味方戦列の方へと走っていった。
「……なぁエリザベス、お前はどう思う?このまま敵戦列への攻撃を継続するか、それとも騎兵が来る前に少しでも味方戦列に接近して、援護を受け易くしておいた方が――」
「おバカね!わざわざ高所っていう戦術的に優位な地形を確保してるのに、それを自分から捨てに行くなんて勿体無いでしょ!それに敵騎兵が来たとしても、ここまでくる頃には登坂で大分体力を消耗してる筈よ。百騎程度、散弾の一斉発射で粉々にして見せるわ!」
間髪入れず自信満々に意見する事により、イーデンの迷いを断ち切るエリザベス。指揮官が優柔不断に陥ってる時は、多少強引でも決断を急がせた方が良い。
「お、おう、やっぱりそうだよな。この位置が最善だよな」
自分の言葉で自分を納得させるイーデン。
「各砲そのまま撃ち続けろ!右翼の敵重騎兵の事は気にするな、既に対策は打ってある!」
その言葉を聞いて安心したのか、浮き足立っていた砲兵達の顔に余裕の表情が戻ってきた。対してエレンだけは、相変わらずノンビリとしていた。
「はーい!みんなどんどん撃ってね〜、あ!砲弾がごちゃごちゃになるといけないから、スピードは上げても砲弾の管理はしっかりね〜!」
「了解だぜ毛玉ちゃん!」
「もー!その毛玉ちゃん呼びやめてよー!」
砲兵の間でエレンの渾名が毛玉になっている事を知り、思わず吹き出すエリザベス。座っているエレンを後ろから見たら、確かに巨大な毛玉に見えなくもない。
「……コホン、さて問題はあっちの人達ね」
気を取り直す様に咳払いをしながら、敵左翼に再度レンズを向ける。朝の出陣時、パルマ歩兵連隊長が訓示で述べていた言葉が頭をよぎる。
『いかにノール戦列歩兵の練度が高いといえども、単純な歩兵数ではオーランドの方が優位だ。そう簡単に突破される事は無い。さらにダメ押しとして、此方には砲兵援護もあるのだ!諸君らは安心して眼前の敵に注力すると良い!』
「連隊長さんは歩兵しか戦場に居ないと思ってるのかしら。騎兵戦力は向こうの方が上ですのに……あらら?」
先程まで敵左翼の丘で待機していた槍騎兵の姿が見えない。
「おかしいわね、一体どこに――ッ!?」
その光景にエリザベスは思わず息を呑む。
丘を駆け下り、三角形の突撃陣形を組み上げながら、味方戦列に突進する有翼騎兵の姿を捉えたのだ。
「……えぇ当然そうするわよねぇ!!私が敵の立場だったとしても同じ事をするわよッ!!」
笑みを浮かべながら、苛立ちと興奮が混ざった叫び声を上げるエリザベス。
「おいエリザベス!敵の槍騎兵が!」
「ええ、わかってるわよ!しかもアレは只の槍騎兵じゃないわ!」
エリザベスは、砲兵陣地の全員に聞こえる大声で叫んだ。
「左翼の敵騎兵は有翼衝撃重騎兵!!、有翼衝撃重騎兵よ!!」
ストックが切れるまでは隔日投稿致します