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スペースおいらん騒動 ~忍者vsメイド~  作者: EBiTAKOS(えびたこ)
13/14

「かわずおとし」と「かわづおとし」

コミケ準備やらなんやらで非常にサボってました、スミマセン。

ついに宇宙船バトルの決着です。

宇宙屋形船「かわずおとし」は生き残れるのか?

13.「かわずおとし」と「かわづおとし」




 ……宇宙での戦いは膠着していた。死スター城の反重力バリアは四面に張られる重厚なもので宇宙屋形船「かわずおとし」の主砲が通らない。一方で死スター城の鉄球を火薬で飛ばす一般的な砲では超高速で飛ぶ「かわずおとし」をとらえるコトは出来ず、双方手が無い状態となっていた。だが……。



「このままだと砲弾が無くなります!」


 サンタ・スシーと共に、主砲に砲弾を装填していたソラが言う。「かわずおとし」の問題は砲弾の数、そして4ローテート4ターボエンジンがいつ壊れるかというコトだ。死スター城の反重力バリアが無い部分、上か下から狙っても、天守閣を守る宇宙瓦と下部を守る宇宙石垣は強固で「かわずおとし」の主砲では破壊には至らないのだ。さらに小百合たち由来の反重力エンジンの燃料も……。



 死スター城の元ヨコサン星外務部長のヨン・ヒクイチから通信が入った。「かわずおとし」の天井モニターにガマガエル風の劣悪な顔が映る。


「フフッ、もうどうやっても貴様らに勝ち目はない。長期戦になればこちらの勝ちは明白だろう。かなり速い船を手に入れたようだが、逆に燃料の消費も速いハズだろう。大人しく我が船の砲の的になれ!」


「ふざけるな!父を殺した罪はお前の死で償ってもらう!!この銀河の平和のためにも!!」


 レイヤー姫が激しく反論する。


「フフッ、ではもう少し遊ばせてもらうか。追い回してやる」


 通信が切れた。レイヤー姫は下を向いてブツブツとなにかを言い始める。そして、少しして顔を上げ、指示を出した。



「これよりラム戦に入る!「かわずおとし」を敵天守閣上に移動させるぞ!」


「いや、でもこの船はラム戦用の衝角とかないですよ、どうするんですか?」


 ゲスオが言う。小百合は昔のアニメで観た宇宙船のラム戦の闘いを思い出していた。ラム戦とは体当たりのコトで、そのアニメの宇宙船はラム戦のための巨大なナイフのような武器が船先から出ていた。ゲスオのいう衝角とはそれのコトなのだろう。


「とにかく、天守閣に貼り付け!それから指示を出す」


「天守閣から侵入して白兵戦とか言わないですよね?」


 ケロタがレイヤー姫に聞く。


「いや、考えがある。ゲスオ、出来るだけヨコサン星に近い所まで敵を引きつけて天守閣上に乗るのだ。誘導の為に主砲は残り全弾使っても良い!」


 レイヤー姫の指示でゲスオが操船する。小百合は管制するケロタの指示に従って主砲を撃ち、死スター城を挑発した。



 ヨコサン星がかなり大きく見える所まで来た。ゲスオは反重力ブレーキを、船内の重力制御が間に合わない程フルに効かせて死スター城の直上に「かわずおとし」をつけて降下する。これも重力制御が追いつかず、小百合たちの肩はシートベルトに食い込んだ。


 コツ!っという音と共に「かわずおとし」の動きが止まった。ゲスオの素晴らしい操船技術により、船底が死スター城の屋根、宇宙瓦に軽く当たって止まったのだ。「かわずおとし」は死スター城と前後逆の形で屋根に取りついた。




「ゲスオ、反重力エンジンをフル手動制御に切り替えろ、死スター城をヨコサン星の重力に落す!」


「いや、でもそれは。確かに城を連れて大気圏なんて重力計算はプログラムされていませんが、だからって重力波を読んで手動コントロールするなんて無理ですよ。それこそ見ただけでベクトルが……あっ」


「そう、幸いにして、こちらにはベクトルの申し子がいるわ。助さん、やっていただけるかしら?」


 レイヤー姫の声に、両手の掌を交互に拳で叩きながら小百合が答える。


「合点承知!私がその大役を引き受けましょう。綺麗にあの城を大気圏に叩き落としてみせます!」


 ケロタの操作で小百合の目の前のモニターが主砲の照準表示から重力波モニターに変わった。ヨコサン星からの重力波、アクイルなどヨコサン星の衛星からの重力波、死スター城からの重力波が三次元の波の形で表示される。そこに「かわずおとし」の二つの反重力エンジンの力を合成して、ヨコサン星の重力波の頂点へベクトルを向けるのだ。死スター城から振り落されないように。


 難しいが、しかし小百合にとってはちょっとした関節技の応用である。



「縦四時、横十一時!」


 小百合が自動車ラリーのナビゲーターのように叫ぶのを聞いて、ゲスオが反重力エンジンの重力制御のベクトル方向を変えていく。「かわずおとし」の二つの反重力エンジンは常に全開だ。もしも、4ローテート4ターボエンジンがもたなかったらそれまでの作戦。だが、確実に死スター城はその底部からヨコサン星へと向かっていった。


 巧みに死スター城の重力制御も受け流す小百合のベクトル演算は、関節技だけではなく合気道の技にも見える。もっとも小百合は関節技と合気道は同じものと考えているのだが。



「くそう、奴らは何を考えておるのだ?この城は天守閣側だけでなく、宇宙石垣のある底部からでも大気圏突破可能なのだぞ。まあいい、無駄な燃料を使わせてヨコサン星の重力圏で振り落して始末してやる」


 死スター星の中、ヨン・ヒクイチが余裕の顔で言う。彼の部下である元ヨコサン星外務部の面々も笑いながら事の行く末を生暖かい目で見守っていた。



「大気圏突入まであと五秒!」


 ケロタが叫ぶ。


「縦三時三十分、横零時!斜め下方向に離脱、見やがれ、これが本当の『かわづおとし』だ!!」


「耐熱フォーム噴射!」


 小百合の掛け声と共にゲスオが操縦桿を操作した。大気圏突入と共に死スター城は城の後門側へと90度倒れ、そのままヨコサン星の重力に落ちていく。「かわずおとし」は死スター城を離れて、いつぞやのように大気圏に落ちていく。


 横倒しとなった死スター城の宇宙漆喰で作られた横壁には、大気圏突入での正面からの断熱圧縮に耐える能力などはなかった。真っ白だった横壁は真っ赤に燃えて、パラパラと剥がれ、ところどころにヒビが入る。



「あつい、あつうい……」


 割れた横壁から容赦なく死スター城の中に熱が入っていった。熱を感じてひと言残した直後にはヨン・ヒクイチとその部下は炭化・蒸発して消えて行った。そして、かろうじて姿を保って大気圏を突破した死スター城は横倒しのまま海に叩きつけられ、冷え切らなかった宇宙石垣と海水の接触による水蒸気爆発とともに粉砕した。



 強烈に揺れながらも大気圏を突破した「かわずおとし」は船底に耐熱フォームをつけた、雲に乗っているような姿で死スター城の落ちたであろう水域まで飛び、ふらふらと落ちて着水した。4ローテート4ターボエンジンは焼き付きを起こして動かなくなり、通常エンジンだけで航行……と思った時に燃料が尽きた。


動かない船の上で小百合たちはコーラを飲み、ケロタの作った団子を頬張った。皆の由来の燃料を作らなければならないのだ。



「ご期待には沿えたと思うけど、どうかしら?」


「ええ、素晴らしいナビゲーションでしたわ」


「大阪城をかわづおとししたもんナー」


「まさかあんな作戦とは思わなかった……ゲス」


「久々に聞いたな、ゲス(笑)」


 小百合が笑う。


「これでツーファイブ星も救われる」


「ナナ上司は無事かなぁ……」


 皆がつぶやく中で、ケロタは無口にコーラを飲みながら、また釣り竿から糸を垂らしていた。水蒸気爆発の影響で釣れないし、爆発のショックで浮いている魚を獲ったほうが速いのは分かっていたが、それでも釣り糸を垂らしていた。



 偶然なのかレイヤー姫の計算だったのかはわからないが、死スター城は陸地から大きく離れた所に落ちたので、一般人への人的被害はなかった。


ケロタが釣りを辞める日没の頃には、銀河幕府の宇宙巡視艇が空からやって来て「かわずおとし」の付近に着水した。


 監禁されていたナナ上司たちヨコサン星諜報部の人間は銀河幕府によって救い出され、ナナ上司からの報告から既にヨン・ヒクイチの悪事は全て銀河幕府の知るところになっており、宇宙巡視艇は死スター城の状態と付近の影響確認、「かわずおとし」乗員の救助のためにやって来たのだ。


 宇宙巡視艇の食堂でサンタ・スシーの同級生だったというツーファイブ星出身のひげ面のカエルのコックが振る舞ってくれた料理はとても美味しく、ケロタが唸るほどのものだった。


 宇宙屋形船「かわずおとし」は宇宙巡視艇に海上を曳航されてヨコサン星の首都、サンシティに向かう。宇宙巡視艇に部屋も用意されおり、皆ゆっくりと眠りについた。


久々に使う布団のフカフカさ、ソラは人知れず涙した……。




~つづく~


ベクトルのその先へ!

BGMはサイレン〇スズカとアグ〇スタキオンのtransf〇rming!!

次回、感動の?最終話……!

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